平成心学塾 経営篇 人は、かならず「心」で動く #075

「愉のマネジメント」~おもしろおかしく仕事を愉しむ

 

私はマネジメントの核心とは、いかに人生を心ゆたかに過ごすかということと密接に関わっていると思っている。そして、それにはいかに仕事を愉しむかが大事なポイントになる。あなたが1日何時間ぐらい職場にいるか、人生の時間のうちでどれくらい仕事に費やしているかを考えれば、仕事を愉しまなかったら、これは明らかに不幸である。
よく会社や仕事に対してグチばかり言う人がいるが、こういう人は例外なく仕事ができない。なぜなら、「成功した人間」にグチが多い人は1人としていないからだ。グチが多いのは、成功していない、評価されていないことへの不満が表われているだけなのである。堀場製作所社長の堀場雅夫氏は、グチをこぼすような人間は絶対に評価されないと言う。堀場氏によれば、そのような人はグチをこぼすことが「趣味」になってしまっているというのだ。上司に見る目がないとグチり、給料が安いとグチり、夏の暑さをグチり、冬の寒さをグチる。現実を甘受する謙虚さもなければ、建設的な反省もない。これでは仕事ができるわけがないというわけである。
たしかにストレスの影響は大きいだろう。では、なぜストレスがたまるのだろうか。ストレス解消法という対症療法ではなく、ストレスがたまる根本原因を考える必要がある。そのヒントは、人間は遊びではストレスはたまらないということにある。ゴルフにしろ、釣りにしろ、旅行にしろ、遊びでやっていることにストレスは無縁だ。自分の意思で、自分が好きでやっているからである。
ならば、仕事も好きになれば、ストレスはたまらないことになる。そして、『論語』に「之(これ)を知る者は之を好む者に如かず。之を好む者は之を楽しむ者に如かず」とあるように、仕事を愉しむことができれば、ストレスがたまらないどころか、愉しいから仕事のレベルもアップして、人生そのものがバラ色になるのである。こんなうまい話を逃す手はないではないか。
堀場氏は、「人間死ぬときにダイヤモンドやお札をたくさん棺桶に入れていっても、何もいいことないやないか」と語り、「おもしろおかしく」をテーマにしている。ソニーの井深大氏は「愉快なる工場」をめざすと言った。ともに日本が戦争に負けて、食べるものもない時代に起こした会社である。人の心も荒んでいたはずだが、そこには爽快なポジティブ・シンキングがある。