何のための結婚式か? めざせ!冠婚ルネッサンス
金沢平安閣が「マリエール・オークパイン金沢」と名を改め、リニューアル・オープンしました。婚礼予約は順調に入っており、これから各地で続くマリエール・オークパインの改名ラッシュに弾みをつけました。
マリエールとはフランス語で「結婚」を意味し、オークパインとは英語の「オーク(柏)」と「パイン(松)」をくっつけて、ひっくり返したもの、つまり「松柏園」という意味になります。各地の松柏園や平安閣がマリエール・オークパインに変身することによって、よりお客様のニーズとウォンツに応え、サンレーグループの冠婚ルネッサンスを現実のものにしたいと思います。
さて、最近のブライダル・トレンドを見ますと、ハウスウエディングが全盛で、神前式、和装、結納、仲人、金屏風というものが消えつつある。参列者も減る一方ですが、それらに比例して日本の離婚率の上昇ぶりは異常なほどで、今年はほぼ30万組のカップルが別れると予想されます。これは実に20年前の約二倍の数です。
結婚式は何のために行なうのかと考えたら、それは簡単に言えば、神や人の前で離婚しないように約束するためです。ですから、神前式でも教会式でも人前式でも、二人が夫婦として仲良く添い遂げることを誓う「宣誓の言葉」を述べるのです。結婚するだけなら役所に婚姻届を出せばいいし、結婚式をしたことを周囲の人々に知らせ祝福してもらいたいのなら、レストランでの披露パーティーで充分です。わざわざ結婚式をやる意味とは、離婚を防止するため、これに尽きると私は思います。
最初から離婚するつもりで結婚する人が、この世にいるでしょうか?もし、そんな人がいたら、まず「慰謝料目当て」という言葉を連想し、さらには「保険金殺人」といった犯罪の匂いさえします。まあ、それほどパートナーのことが好きでもなく、成り行きで結婚することになったので、「離婚することになっても別にいいや」と考えている人はいるでしょう。そういう人こそ婚姻届の提出だけにして、挙式や披露宴は行なわないでいただきたい。そんないいかげんな気持ちで式や披露宴を行なったら、大事なお金と時間とエネルギーを使う参列者に失礼です。
だいたい、「自分たちは結婚するけど、離婚するかもしれない」などと考えている人には、覚悟というものがない。覚悟とは、赤の他人であるパートナーと夫婦になって一緒に暮らすのだから、性根を据えて相手を思いやり、結婚生活を快適に続けていく努力を怠らないという覚悟です。そんな覚悟のないままに何となくムードで結婚する人の将来は目に見えています。
そういう人は子育ての覚悟のないままに子どもをつくって児童虐待に走ったり、生き物を飼う覚悟もなく、ただかわいいからと思いつきでペットを買ってきて、飽きたら捨てるといった人だと私は思います。何事も「覚悟」を持って行動をはじめなければならず、結婚というのはその最たるものではないでしょうか。
私は、結婚式場とは何かと考えたときに、夫婦をつくる工場のようなものではないかと気づいたことがあります。ハリウッドの映画スタジオが「夢工場」なら、結婚式場は「夫婦工場」である。さらに言えば、カップルの純粋な愛情を封じ込める缶詰め工場であり、真空パックの工場である。二人の魂を接合する溶接工場でもある。そしてその製品である夫婦が離婚するということは、真空パックが破れたり、接合部分が離れるということで、不良品や粗悪品を製造していることに他ならないのです。つまり、良い工場が不良品の少ない工場であるように、良い結婚式場とは離婚発生率の低い結婚式場なのです。
このことに気づいてから、私は冠婚部門の目標は、婚礼件数だとか売上げとか一件単価などももちろん大事ですが、離婚発生率の低さにも置かなくてはならないと思うのです。離婚のしにくい結婚式を演出することが必要なのです。それが一番、お客様の利益そして幸福につながるからです。
それにはどうすればよいかというと、先ほど消えつつあると述べた神前式、和装、結納、仲人、金屏風などは離婚を思いとどませる大きなプレッシャーでした。だから、それらの真の意義をもう一度お客様に説くことも大切でしょう。また、参列者を増やすことは最大のプレッシャーになり、遠くの友人・知人・親御さんの友人・知人、そして職場の他部署の上司などを招待者リストに加えることも求められます。
そういったさまざまなプレッシャーをネガティブにとらえるのではなく、すぐれた文化装置としてプレゼンテーションすることが必要です。「自由」と「個人」がキーワードのハウスウエディングの流れにすべてが飲み込まれては、ブライダル業界の将来は明るくないし、日本の冠婚文化も衰退する一方です。
結婚式とは、死が二人を分かつまで一緒にいることをカップルが誓うセレモニーです。ならば、強い感動と覚悟を覚え、二人が一生を添い遂げることを心に誓う結婚式こそが良い結婚式だと言えます。そういった結婚式をプロデュースできるかどうかに、サンレーの冠婚ルネッサンスの実現がかかっています。