マンスリーメッセージ サンレーグループ社員へのメッセージ 『Ray!』掲載 2020.10

冠婚葬祭業は永久に不滅 互助会が日本の国難を救う!

●GoToウエディングの実施を!
9月14日、自民党の新総裁に菅義偉氏が選出されました。16日の午前に開かれた閣議で、安倍晋三内閣が総辞職し、菅総裁が第99代の内閣総理大臣に就任されました。
菅首相は、全日本冠婚葬祭互助会政治連盟の最高顧問です。今回は政治連盟から5人の大臣が出ました。素晴らしい快挙であり、互助会業界も政治力が以前より格段に強くなってきました。ちなみに、政治連盟の初代会長はわが社の佐久間進会長です。わたしは、現在、副会長を拝命しています。
ぜひ、菅首相にお願いしたいことがあります。菅首相は一連のGoToキャンペーンを主導してこられた方ですが、日本人が結婚式を挙げやすい政策を立てていただきたいと思います。結婚式の費用とか交通費などを助成する、いわば「GoToウエディング」です。「GoToウエディング」は「GoToトラベル」のように業界救済、つまり経済のためではなく、社会のために行うものです。

●日本の最大の国難とは?
日本は、いま最大の国難に直面しています。それは新型コロナウイルスの問題でも、中国の領土侵犯の問題でも、北朝鮮のミサイル問題でもありません。
より深刻なのが人口減少問題です。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が発表した「日本の将来推計人口」(2017年)によれば、100年も経たないうちに5000万人ほどに減少することが予測されます。
ベストセラーになった『未来の年表』の著者である大正大学客員教授の河合雅司氏は、「こんなに急激に人口が減るのは世界史において類例がない。われわれは、長い歴史にあって極めて特異な時代を生きているのである」と述べています。
人口減少を食い止める最大の方法は、言うまでもなく、たくさん子どもを産むことです。そのためには、結婚するカップルがたくさん誕生しなければならないのですが、現代日本には「非婚化・晩婚化」という、「少子化」より手前の問題が潜んでいます。

●結婚式は結婚よりも先にあった!
人間は、儀式という「かたち」によって不安定な「こころ」を安定させ、幸せになることができます。儀式とは人間が幸福になるためのテクノロジーであると言えるでしょう。
わたしは、結婚式は結婚よりも先にあったと考えています。一般に、多くの人は、結婚をするカップルが先にあって、それから結婚式をするのだと思っているのではないでしょうか。でも、そうではないのです。
日本人の神話である『古事記』では、イザナギとイザナミはまず儀式をしてから夫婦になっています。つまり、結婚よりも結婚式のほうが優先しているのです!
他の民族の神話を見ても、そうでした。すべて、結婚式があって、その後に最初の夫婦が誕生しています。
結婚式の存在が結婚という社会制度を誕生させ、結果として夫婦を生んできたのです。
結婚式があるから、多くの人は婚約し、結婚するのです。結婚するから、子どもが生まれ、結果として少子化対策となります。

●結婚式の存在が人類を存続させた
結婚がなくなれば、何が起こるか。子どもの出生が少なくなり、子どもが成長して大人となり、老いていって次の世代へ繋がることもなくなります。
すなわち、結婚は生命のサイクルの起点なのです。観光や外食と違って、結婚式は社会の維持のために絶対に必要です。冠婚業はけっして単なるサービス産業ではありません。日本という国を継続させていくエンジンのような存在です!
菅首相は、自民党総裁に選ばれた直後の挨拶で「私の目指す社会像は、自助・共助・公助、そして絆であります」と述べられました。自助・共助・公助、そして絆の社会とは、まさに相互扶助の互助社会ではありませんか! ぜひ、互助の精神で「GoToウエディング」の実施を切に願う次第です。
結婚式も大事ですが、葬儀も重要です。葬儀がなければ、家族や友人・知人・恋人などの「愛する人」を亡くした悲嘆から、うつ・自死の連鎖が起こって、人類は滅亡していたというのが、わたしの仮説です。

●葬祭業はエッセンシャルワーク
最近、「葬祭業はエッセンシャルワークですね」とよく言われます。エッセンシャルワークとは医療・介護・電力・ガス・水道・食料などの日常生活に不可欠な仕事です。
同じように大切な仕事と思われてきた教育はエッセンシャルワークではありません。日本中の大学は未だに閉鎖されています。
神社や寺院や教会といった宗教もエッセンシャルワークではありません。コロナ前から「神社崩壊」や「寺院消滅」が叫ばれていたことが思い出されます。
しかし、葬儀はエッセンシャルワークです。葬儀にはさまざまな役割があり、霊魂への対応、悲嘆への対応といった精神的要素も強いですが、まずは何よりも遺体への対応という役割があります。遺体が放置されたままだと、社会が崩壊します。それは、これまでのパンデミックでも証明されてきたことでした。何が何でも葬儀に関わる仕事は続けなければならないのです。
葬儀が必要不可欠のエッセンシャルワークなら、わが紫雲閣は不滅です。このたびの台風10号では、100人以上の避難者の方々を受け入れました。「魂を送る場所」であった紫雲閣が「命を守る場所」となったことは画期的であり、「セレモニーホール」が「コミュニティホール」へと進化しました。
冠婚業も葬祭業も、単なるサービス業ではありません。それは社会を安定させ、人類を存続させる重要な文化装置なのです。冠婚葬祭が変わることはあっても、冠婚葬祭がなくなることはありません。

人々の魂(たま)を結びて魂(たま)送る
      わが礼業は不滅なりけり  庸軒