哲学こそが、勝敗を決める! いま、世に問うサンレーの思想
一条真也のペンネームで十年ぶりに本を二冊出版しました。『結魂論/なぜ人は結婚するのか』と『老福論/人は老いるほど豊かになる』です。おかげさまで、全国の主要書店での売れ行きもよく、発売直後から多くの読者の方々からお手紙やメールをいただき、感激しています。
本当は経営者として一人前になるまで本は書くまいと思っていたのですが、最近の社会の流れを見るにつけ、どうしても言いたいことがあり、一大決心をもってペンをとりました。
いま、日本人の心には二つの非常ベルが鳴っています。一つは今年、史上初めて日本人の離婚件数が30万組を突破したことです。現在の日本では毎年約80万組のカップルが結婚して、約30万組が離婚している。これは20年前の約二倍であり、実に30秒に一組が別れるという離婚大国アメリカに猛烈な勢いで迫っています。
もう一つの非常ベルは、自殺です。1998年以降、日本の自殺者数が連続して3万人を上回り、大きな社会問題となっています。この数は、実に交通事故の三倍以上にもなる。
その内訳をみると、もともと自殺者に占める割合の高い中高年男性の自殺者数がさらに増えているのです。日本一の長寿県といわれる沖縄県においてさえ、中高年男性の自殺が増えつづけ、平均寿命がどんどん低くなってきています。泡盛を愛し、カチャーシーを愛するポジティブな沖縄のオジイたちが自ら命を絶つなど、私には信じられません。
この二つの非常ベルに気づいた私は、冠婚葬祭業を通じて、常に新郎新婦や高齢者を見つめている者として、このままではいけないと痛感しました。そして冠婚葬祭会社を経営する者の務めとして、ぜひ「結婚」と「老い」におけるフィロソフィー(哲学)を打ちだすべきだと思ったのです。
互助会を金儲けの手段としてしかとらえていない経営者の中には、「どんどん離婚してくれりゃあ挙式がまた増えるし、自殺者が増えれば葬儀が多くなってありがたい」と言い放つ者までいます。私は同じ仕事を業とする者として、本当に涙が出るほど悲しい気持ちになります。離婚や自殺の増加を歓迎するなど、悪魔や死神そのものではないですか!
彼らは「礼」つまり「人の道」を提供するという冠婚葬祭互助会事業のミッション(社会的使命)をまったくわかっていないようです。本当に悲しいことであり、彼らも日々「人の道」からどんどん外れていくかわいそうな人々です。「お気の毒さま」と言うより言葉がありません。
私は、サンレーグループの施設で結婚された方々は、死が二人を分かつまで添い遂げていただきたいと心から思います。そしてそのために強い感動を与える結婚式をすべきであると、先日の日田のマリエール大聖堂の献堂式でも申し上げました。
また、お年寄りには「老い」のすばらしさを実感していただき、豊かな老後を送っていただきたいと思います。諸般のご事情で自ら命を絶たれた方は本当にお気の毒だと思いますし、誠心誠意お弔いをさせていただきます。しかし、たっぷり長生きされても紫雲閣は逃げないのです! そうであれば天寿を全うされる方々を一人でも多くお送りしたいというのは当然ではありませんか。
これから結婚される方、また、いま結婚している方には「なぜ人は結婚するのか」ということを考えていただき、結婚は男女の魂が結びつく「結魂」なのだという真理を理解していただく。高齢者の方々には「人は老いるほど豊かになる」と信じ、精一杯、愉快に生きていただきたい。そして、自分の好きなお葬式のスタイルで旅立っていただきたい。そんな願いを込めて、私は激務の間をやりくりして二冊の本を書いたのです。
この二冊は、フィロソフィーの本であると同時にストラテジー(戦略)の書でもあります。かつてかのナポレオンに敗れつづけたプロイセンの運命を一冊の書物が変えました。クラウゼヴィッツの『戦争論』です。この『孫子』にも比べられる戦争哲学によって、プロイセンはその後連戦連勝!一躍、ヨーロッパの強国となったのです。渡部昇一氏はこのことを「哲学こそが、勝敗を決める」と表現しています。日本では森外が小倉の地で初めてこの本を訳していますが、はるか後の毛沢東の長期戦戦略やベトナム戦争、アルジェリア戦争に至るまで強い影響を与えたと言われています。
私の二冊の本も、単なる思想書やエッセイではなく、21世紀の冠婚葬祭ビジネスにおけるサンレーグループのビジョンやプランを至るところにちりばめている戦略の書です。これらは、広く世の人々の賛同を得て、同業他社に対する大いなる差別化になると確信しています。ですから、ぜひサンレーグループ社員の方々に読んでいただきたいと思います。
社長である私が覚悟をもって、魂を込めて書いた本です。サンレーの未来が書かれています。ぜひ「社長が書いた本など、自分には関係ない」と傍観者にならず、読んで、率直な感想を聞かせて下さい。心よりお待ちしています。