マンスリーメッセージ サンレーグループ社員へのメッセージ 『Ray!』掲載 2022.05

SDGsって何だ? 互助会が社会を持続させる!

●SDGsの奨励賞を受賞
北九州市はかねてよりSDGsに熱心に取り組んでいますが、「2021北九州SDGs未来都市アワード」において、サンレーが奨励賞を受賞しました。他の受賞企業は製造業のみで、いわゆる第三次産業ではわが社のみです。名誉なことだと思っています。
SDGs(Sustainable Development Goals)とは「持続可能な開発目標」という意味です。「SDGs(持続可能な開発目標)は、国連で採択された「未来のかたち」です。健康と福祉、産業と技術革新、海の豊かさを守るなど経済・社会・環境にまたがる17の目標があり、2015年の国連総会で全加盟国が合意しました。そして、2030年までにそのような社会を実現することを目指しています。
『SDGs(持続可能な開発目標)』蟹江憲史著(中公新書)が最適のテキストです。著者は、北九州市立大学の助教授などを経て、2015年より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授を務めています。

●全体として課題を解決する
感染症への対処、ワクチンなど医薬品の開発、「元に戻る」ためのレジリエント(復元力の高い)なインフラ構築、差別の撤廃、廃棄物の大幅削減、そして貧困の解消。これらはすべてSDGsの目標に含まれています。
現代社会には、多くの課題があります。大きく分けると、これらの課題は、経済の問題、社会の問題、環境の問題と3つに分けることができると指摘し、蟹江氏は「より身近な言い方をすれば、カネ・ヒト・地球の問題である。それらは一見独立した問題のようにも思われるが、実はそれぞれが深く強く関連している」と述べています。
課題が相互に関連しているということは、課題解決も一筋縄では行かないということであり、何かを解決しようとしても、総合的に考えて行動を取らない限り、全体として課題を解決することにはならないのです。

●「四方よし」とは何か
日本では江戸時代以来、近江商人の経営哲学としての「三方よし」という考えがよく知られています。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」として、売り手も買い手も満足し、そして世間(社会)も良くなる商いが良い商売だという考えです。SDGsはこの考えをもう一歩進めた「四方よし」であると指摘し、蟹江氏は「従来の『三方よし』には足りなかった考え方があった。『未来よし』である」と述べます。その「未来よし」を補ってくれるのがSDGsなのです。
未来には、これまでの延長線上で考えられないことがたくさん出てくるとして、蟹江氏は「つまり、今とは異なる条件のなかで、課題解決を継続的に行っていくためには、『四方よし』の必要があるわけである。こうしたなかで、企業がSDGsへの注目を高めているというのは、必然だといってよい」と述べます。わが社が注目を高めているのも必然のような気がしてきました。

●人類の生存戦略
わたしは、SDGsとは「人類の生存戦略」だと考えています。わが社の社歌を作って下さった神道ソングライターで宗教哲学者の鎌田東二先生は『古事記』について、「いのちの賛歌としての『古事記』は日本人の生存戦略の書でもある。すなわち『まつり』と『うた』を発明したのがそれである」と述べています。これには膝を打ちました。
なるほど、「まつり」と「うた」は日本のSDGsに関わっていたのか!ならば、コロナ前に北島三郎の「まつり」をカラオケで「うた」っていたわたしはどうなる?(笑)
『古事記』のみならず、各民族の神話はそれぞれの生存戦略の書であるという見方もできます。つねづね、鎌田先生は「人類は神話と儀礼を必要としている」と述べておられ、わたしも大いに共感していますが、それは結局、神話と儀礼の本質は人類を滅亡させず持続させるためのものだということでしょう。

●儀式が社会を持続させる
そして、神話と儀礼の本質は「物語」です。鎌田先生は儀礼について「人間がリアルからいったん離れて、あえてフィクショナルな世界に身を投じること」と喝破されました。儀礼の核をなすものが儀式です。
儀礼や儀式といえば、わが社をはじめとした冠婚葬祭互助会が提供するものです。考えてみると、冠婚葬祭とは社会を持続させるシステムそのものではないでしょうか。
結婚式は、夫婦を生み、子どもを産むことによって人口を維持する結婚を根底から支える儀式です。一方葬儀は、儀式とグリーフケアによって死別の悲嘆によるうつ、自死などの負の連鎖を防ぐ儀式です。冠婚業も葬祭業も、単なるサービス業ではありません。それは社会を安定させ、人類を存続させる重要なケアの文化装置なのです。

●SDGsこそ、互助会の出番!
そして、互助会の根本理念である「相互扶助」は、社会の持続性により深く関わります。SDGsといえば、まずは環境問題が思い浮かびますが、人権問題も貧困問題も児童虐待も、すべての問題は根が繋がっています。その意味で、入浴や食事がままならないお子さんを見て見ぬふりはできません。
子どもたちに「日王の湯」の風呂に入ってもらった後、食堂でカレーライスをお腹いっぱい食べてもらうイベントを開催しましたが、これこそ新しい互助会の在り方だと思います。児童養護施設のお子さんたちに、七五三や成人式の晴れ着を無償レンタルするのも同様です。儀式の素晴らしさを知れば、将来は互助会との縁ができるかもしれません。SDGsの時代である今こそ、互助会の出番ではありませんか!

この世をば続けるための仕組みこそ
われらの仕事そのものと知る  庸軒