マンスリーメッセージ サンレーグループ社員へのメッセージ 『Ray!』掲載 2021.07

グリーフケア時代の幕開け さあ、心の仕事を極めよう!

●資格認定制度スタート!
わたしは一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の副会長ならびにグリーフケアPT座長、さらには一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団の副理事長を務めていますが、「グリーフケア資格認定制度」が、2021年6月末にスタートしました。
6月25日には、パシフィコ横浜で開催された「フューネラルビジネスフェア2021」で「重要性高まるグリーフケアの意義と役割」と題する講演を行いました。そこでは、「弔うことの意味、供養の大切さ=礼欲」「グリーフケア資格認定制度の意義」「葬儀を重んじる時代へ」などについて語りました。コロナ禍にもかかわらず、会場には全互協の仲間たちをはじめ、多くの参加者たちが集い、グリーフケアに対しての関心の高さを改めて認識した次第です。
わたしは全互協のグリーフケアPTの座長として、ずっと資格認定制度の発足に取り組んできましたので、ついに開始のはこびに至り、感無量であります。

●資格認定の対象者は?
このたびのグリーフケア資格者認定制度は、葬儀の施行に加え、サポートやケアなどのスキルを持った専門職(グリーフケア士)の育成が非常に重要になってきたため、創設されました。
この資格認定制度を行う意義として、グリーフケアが葬儀施行以外にも医療の現場を始め様々な現場で必要とされるものであり、グリーフケア士の育成を行うことでグリーフを抱える「悲嘆者」が日常の生活の中でケアされる健全で心ゆたかな社会を構築していくこととなります。
また、このグリーフケア資格認定制度は、わたしが客員教授を務める上智大学グリーフケア研究所による監修のもと、葬儀業界関係者だけを対象とせず、多くの方が受験できるようにしています。
資格認定の対象者としては、①互助会事業者等に勤務している方②職務を通してグリーフケアの実践が必要な方(医師、看護師、介護スタッフ等)③悲嘆を抱えた方に寄り添いケアを行う方(遺族会、患者会)④グリーフケアに関心の高い方となり、広く門戸を開き、資格として認定することで人材を育成していくものです。

●グリーフケア士とは?
グリーフケア士の役割は人生の様々な節目において経験する〈ひと・もの・こと〉の深い喪失に際して、「丁寧に想い起こし、感謝し、祝福し、決別を十分嘆くための特別な場を整える(文化・伝統・宗教資源)」「グリーフを大切に憶え続ける心の準備を促す(ケア資源)」「グリーフを経験した自分を見守ってくれるコミュニティーの再構築を目指す(地域資源)」こととなります。
そしてグリーフケア士とは、その役割を果たすために、「悲嘆者」と誠実に向き合い、ライフサイクルの中で起こるグリーフの諸相を理解し、儀礼と傾聴を通して、悲嘆を抱えた方に寄り添い、ケアを実現する専門職ということになります。
グリーフケア士に認定された方には、その上位の資格である上級グリーフケア士の受験や、さらには高度なグリーフケアの能力を獲得するために上智大学グリーフケア研究所の「グリーフケア人材養成講座」の受講を推奨されており、そこではグリーフケアのマネジメント(指導・育成・管理)能力を会得することができます。

●グリーフケア士になるために
グリーフケア士の資格試験は全国の試験会場にてインターネット経由で配信する試験形式(CBT方式)により、すべての曜日(祝日及び年末年始休業等を除く。2021年3月末時点での試験会場数は287会場)で受験でき、試験結果の評価判定に基づいて資格の認定が行われます。合格者には、認定の証として資格認定証(カード)が交付され登録されます。
また、資格を取得すれば終わりではなく、知識やスキルの向上、また新たな情報の提供のため、登録者へのフォローが実施されます。具体的には、セミナーやワークの実施、定期的な機関紙の発行(年に1回)等が検討されています。
時代のニーズに答えるためにこの資格認定制度はスタートしていきますが、皆様方にはこの資格認定制度をよく活用していただき、社会において必要不可欠な存在となるべく、そして共によりよい社会をつくっていく存在となっていただきたいと願っております。

●学習する組織を目指そう!
マネジメントの世界には、「ラーニング・オーガニゼーション」という言葉があります。イノベーションを巻き起こすための「学習する組織」のことで、マサチューセッツ工科大学(MIT)経営学部教授のピーター・センゲが唱えた経営コンセプトです。
わが社は、業界で初めてTQCを導入したり、やはり業界初でISO9001を取得したり、厚生労働省認定技能審査の一級葬祭ディレクターの人数で最多を達成したりと、もともと学習志向の強い会社でした。それは、何よりもホスピタリティ企業として高品質のサービス、お客様の心にひびくサービスの提供を究極の目的としているからです。ただの道楽で学習しているわけではないのです。
「何のために学ぶのか」という問題について、陽明学者の安岡正篤は「人間学」というものを提唱しました。彼は、広い意味において道徳的学問・人格学、これを総括して人間学というならば、この人間学が盛んにならなければ本当の文化は起こらず、民族も国家も栄えないと述べています。グリーフケアこそは、まさに人間学です。一人でも多くのグリーフケア士が生まれますように。

学ぶなら 人の心に寄り添いて
深き悲しみ 支へんとす  庸軒