マンスリーメッセージ サンレーグループ社員へのメッセージ 『Ray!』掲載 2023.10

映画「君の忘れ方」がクランクイン グリーフケア時代の幕が開く!

●「君の忘れ方」のクランクイン
 まだまだ残暑厳しいですね。今日は映画の話をしたいと思います。拙著『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)を原案としたグリーフケア映画「君の忘れ方」が、9月からクランクインしました。
 先日、わたしは埼玉ロケを訪れ、同作に出演しました。撮影場所の「セレモニー浦和ホール」に着くと、作道雄監督に挨拶。小倉の銘菓である湖月堂の「祇園太鼓」の30個入りを差し入れると、とても喜んで下さいました。じつは映画の撮影現場に差し入れをするというのは長年の夢だったので、それがようやく叶って嬉しかったです。
 今回のわたしの役は、なんとフューネラル・ディレクター。いわゆる「おくりびと」ですね。黒の礼服に紫雲閣のネクタイを着用しました。みなさんがスクリーンでわたしの姿を見たとき、「社長が紫雲閣のネクタイをしている」と気づいてくれれば嬉しいです。

●アドリブで祭壇へ一礼
 わたしがヒロインである西野七瀬さん演じる主人公の遺影を祭壇に飾って、そのままタイトルインするという重要な役です。所作の美しさや気品が求められるということで緊張しましたが、なんとかやりきりました。撮影はテイク2でOKが出ましたが、アドリブで遺影に向かって合掌し、祭壇に一礼しました。
 撮影の翌日、作道監督より「一条先生、昨日はありがとうございました。一条先生に現場に来ていただけて嬉しかったというのが一番の感想です。遺影を祭壇に置き、タイトルを出すというこの映画の要のポイントは、グリーフケアや映画への思いがある方に全うしていただきたいと思っていましたので、それが叶いました。ありがとうございます。祭壇への一礼もそうですし、はけていかれるときのお顔つきもとても良かったです」とLINEが届きました。

●グリーフケアの普及に感慨
 撮影後はインタビュー取材を受けました。映画の公式メイキング動画とDVD&Blu-rayの特典に収録するためです。
 インタビュアーから「感想をお願いします」と言われたので、「わたしが『愛する人を亡くした人へ』を書いたのは2007年ですが、当時は誰も『グリーフケア』という言葉を知りませんでした。15年が経過して、グリーフケアが全国に普及し、資格認定制度も立ち上がり、こんな素晴らしい映画まで作られて、本当に感無量です」と言いました。  
 チョイ役ながら、今回でわたしの映画出演も4回目になりました。大の映画好きなので、少しでも映画作りに関われることが嬉しいですね。その3日後の13日の午前7時、「君の忘れ方」の情報がついに解禁、主演が坂東龍汰と西野七瀬の2人であると明かされました。

●「君の忘れ方」の情報解禁
 Yahoo!ニュースでは、「『君の忘れ方』は、『愛する人を亡くした人へ』(一条真也・現代書林)が原案のラブストーリー。“死別の悲しみとどう向き合うか”をテーマに、恋人を亡くした構成作家の青年が、悲嘆の状態にある人に、さりげなく寄り添う『グリーフケア』と出合い、自らと向き合う姿を描く」と紹介されています。
 リリースには、「監督・脚本は、国際映画祭で数々の賞を受賞し、第79回ヴェネチア国際映画祭VENICE IMMERSIVE部門の正式招待を果たしたVRアニメーション『Thank you for sharing your world』、ほか映画『光を追いかけて』『アライブフーン』の脚本を担当した作道雄。本作で初めての映画単独主演を務めるのは、若手実力派俳優として振り幅の大きい演技で存在感を発揮している坂東龍汰。映画、ドラマ、CM、舞台と八面六臂の活躍をみせる西野七瀬がヒロインを演じる」と書かれています。

●主演俳優と監督の熱い想い
 坂東龍汰さんは、「作道監督の過去の経験も含まれた脚本を読ませていただき共感する部分が随所にありました。その世界観を丁寧に演じるために撮影前から監督と色々な話を重ねて良い準備期間をもって、いよいよクランクインします」と意気込みを語りました。
 また、作道監督は、「難しいテーマでしたので、脚本を書くのにとても苦しみました」と脚本執筆を振り返り、「たくさんの意見や励ましをもらい、3年をかけて脚本を書き上げ、スタッフの力と支えで撮影を開始することができました。その経験はそのまま、人は辛い時に1人になりたがる生き物だが、人の中で生きていく道を消してはならないという、今作へのテーマへ結び付きました」と作品に込めた思いを明かしています。

●グリーフケア時代が開幕
 撮影は東京ではじまり、日本アニメ映画史上に燦然と輝く新海誠監督の大傑作「君の名は。」の舞台にもなった岐阜県飛騨市と高山市の雄大な自然を背景に行われます。
 ヒロインは西野七瀬さんです。言わずと知れた乃木坂46で最多のセンターを務めた絶対エースです。西野さんはなんていっても演技力が素晴らしいことから、今回のヒロインが西野さんに決まって良かったです。なにしろ、彼女は日本アカデミー賞の優秀女優賞を受賞している名優ですから。
 「君の忘れ方」は2025年正月の公開予定です。12月1日からはドキュメンタリー映画「グリーフケアの時代に」が公開されます。文化庁支援のこの作品にもわたしが出演しています。「すべての映画はグリーフケア映画」というのはわたしの口癖ですが、この2本の映画で「グリーフケアの時代」の幕が開けることでしょう。

 悲しみに寄り添ふこころ
  銀幕に映し出されて幕は開けり  庸軒