おかげさまで55周年 アンビショナリー・カンパニーへ!
●創立55周年を迎えて
おかげさまで、11月18日、ついにわが社は創立55周年を迎えました。
55年前、つまり1966年はイギリスで音楽革命を起こしたビートルズが来日して、空前の大ブームを巻き起こしました。彼らの影響で日本には多くのグループサウンズが生まれ、若者たちの間では長髪やジーンズが流行しました。
アメリカでは大衆文化の革命を起こしたウォルト・ディズニーが亡くなり、中国では毛沢東が「文化大革命」を起こしました。
そんな年に誕生したサンレーは、日本で冠婚葬祭の文化大革命を起こす道を歩んできたように思います。
今まで本当に多くの出来事がありました。特に、ここ2年は新型コロナウイルスの感染拡大という想定外の出来事があり、緊急事態宣言なども発令されて、冠婚葬祭業は大きな打撃を受けました。それでも、何とかここまで来られたのは社員の皆様のおかげです。心から感謝しております。早いもので、わたしも社長に就任してから20年が経ちました。
●ミッション経営
コロナ禍で、企業の在り方も大きく変化しました。「資本主義の終焉」とか「ビジネスの時代の終わり」などとも言われています。一方、「ヒューマニティ」とか「相互扶助」といった言葉がコロナ後のキーワードになりつつあります。
これからの企業に求められるものは「M&A」ではないでしょうか。M&Aといっても、企業の合併・買収のことではありません。M&Aの「M」とは「Mission(ミッション)」のことです。そして、「A」とは「Ambition(アンビション)」のことです。すなわち、サンレーの「M&A」は「使命」と「志」のことなのです。
会社人として仕事をしていくうえで「ミッション」が非常に大切です。「ミッション」は、もともとキリスト教の布教を任務として外国に派遣される人々を意味する言葉でしたが、現在はより一般的に「社会的使命」や「使命感」を意味するようになってきています。ミッション経営とは、社会について考えながら仕事をすることであると同時に、お客様のための仕事を通して社会に貢献することです。要するに、お客様の背後には社会があるという意識を待たなくてはなりません。
●志に生きる志士
そして、ミッションと並んで会社人に必要なものが、アンビション、つまり「志」です。志とは心がめざす方向、つまり心のベクトルです。行き先のわからない船や飛行機には誰も乗らないように、心の行き先が定まっていないような者には、誰も共感しませんし、ましてや絶対について行こうとはしません。
志に生きる者を志士と呼びます。幕末の志士たちはみな、青雲の志を抱いていました。吉田松陰は、人生において最も基本となる大切なものは、志を立てることだと日頃から門下生たちに説いていました。そして、志の何たるかについて、こう説きました。
「志というものは、国家国民のことを憂いて、一点の私心もないものである。その志に誤りがないことを自ら確信すれば、天地、祖先に対して少しもおそれることはない。天下後世に対しても恥じるところはない」
また、志を持ったら、その志すところを身をもって行動に現わさなければなりません。その実践者こそ志士なのです。
●志とは無私であること
いわゆる経営書やビジネス書を読むと、志の重要性について言及しているものが多くなってきました。志の条件についてもさまざまな示唆があります。
例えば、「長期の視野に立つこと」であるとか、「社会に貢献すること」であるとか、「幼少の頃の夢を思い起こすこと」であるとか、「内部からの願い」であるとかです。
どれも完全な間違いではありませんが、いずれも志の核心はついていません。「夢」と「志」を混同しているものが多いですね。
わたしは、志というのは何よりも「無私」であってこそ、その呼び名に値するのであると強調したいです。松陰の言葉に「志なき者は、虫(無志)である」というのがありますが、これをもじれば、「志ある者は、無私である」と言えるでしょう。平たく言えば、「自分が幸せになりたい」というのは夢であり、「世の多くの人々を幸せにしたい」というのが志です。夢は私、志は公に通じているのです。自分ではなく、世の多くの人々、「幸せになりたい」ではなく「幸せにしたい」、この違いが重要なのです。
●アンビション経営
企業もしかり。もっとこの商品を買ってほしいとか、もっと売上げを伸ばしたいとか、株式を上場したいなどというのは、すべて私的利益に向いた夢にすぎません。そこに公的利益はないのです。
社員の給料を上げたいとか、待遇を良くしたいというのは、一見、志のようではありますが、やはり身内の幸福を願う夢であると言えます。真の志は、あくまで世のため人のために立てるものなのです。
サンレーには無縁社会を乗り越え、有縁社会を再生するという志、グリーフケアによって世の人々の悲嘆を軽くするという志、そして冠婚葬祭という儀式で日本人を幸福にするという志があります。
コロナ後の企業には、ミッション(使命)とアンビション(志)による「M&A」が必要とされます。今後は、ますます「ハード」よりも「ハート」、つまりその会社の「想い」や「願い」を見て、お客様が選別する時代に入ります。サンレーは大志を抱きながら、輝ける創立60周年に向かっていきます。
こころざし 抱きて生くる者たちが
集ふ社は国を救はん 庸軒