マンスリーメッセージ サンレーグループ社員へのメッセージ 『Ray!』掲載 2022.06

6月は結婚式の季節 婚礼は家族ができる基本!

●夫婦は一番小さな互助会
「ジューン・ブライド」の言葉もあるように、6月は結婚式の季節ですね。5日、わたしの長女も結婚式を迎えます。父親として感無量ですが、改めて「結婚とは何か」「結婚式はなぜ行うか」について考えてみました。
まず、結婚とは何か。哲学者の内田樹氏は、著書『困難な結婚』で「結婚しておいてよかったとしみじみ思うのは『病めるとき』と『貧しきとき』です。結婚というのは、そういう人生の危機を生き延びるための安全保障なんです。結婚は『病気ベース・貧乏ベース』で考えるものです」と述べています。
これを読んで、わたしは、基本的に内田氏の発言に賛同しつつも、夫婦の本質である「安全保障」を別の四文字熟語で置き換えたいと思いました。それは「相互扶助」です。二文字に縮めれば、「互助」となります。そう、互助会の「互助」です。そういうふうに考えれば、「夫婦は世界で一番小さな互助会」であるということに気づきます。

●結婚式場は夫婦工房
次に、結婚式はなぜ行うか。それは、ずばり、離婚を防いで、夫婦という「世界で一番小さな互助会」を解散させないためです。
拙著『結魂論』で詳しく述べましたが、日本の結婚式には離婚をしにくくさせるノウハウが無数にありました。仲人や主賓の存在、結納という儀式、文金高島田の重さや痛さ、大人数の前でのお披露目。どれも面倒でストレスのかかることばかりです。もうこんな大変なことは二度とやりたくない、それが安易な離婚の抑止力になっていました。昨今はカジュアルな合コンの延長のような感覚で結婚パーティーを開いてしまうから、簡単に離婚してしまうのではないかと思っています。
わが社の冠婚部門が、これまで目指してきたのは、離婚発生率の低い結婚式場の運営です。結婚式場はいわば「夫婦工房」ですから、その作品である夫婦が離婚するということは、不良品や粗悪品を製造していることにほかなりません。離婚しない夫婦を作ることは最もお客様の利益、幸福につながるのです。

●『礼記』における婚礼の重要性
そして、離婚しない夫婦を作るためには、やはり儀式が大切です。お客様に儀式の大切さをしっかりとお伝えしなければなりません。
わが国における儒教研究の第一人者である大阪大学名誉教授の加地伸行先生とわたしの対談本『論語と冠婚葬祭』がついに刊行されました。同書では、加地先生と「礼」について大いに語り合わせていただきました。
そこで『論語』と並んで儒教の最重要聖典とされている『礼記』の話題になりました。『礼記』の「昏義篇」には、「婚礼は敬しく慎んで重々しくまちがいなく進められていってそして夫婦が相親しむのである。それは婚礼がすべての礼の根本になる要素を持っているからである。そしてまたこのようにていねいに行なうことによって、男女が互にけじめを守って接するべきものであること、またこれが夫婦の間の義をたてることになることを教えている」(下見隆雄訳)とあります。

●婚礼こそはすべての礼の本
続けて、『礼記』では、そもそも男女の間にけじめがあってこそ夫婦の正しい結びつきは生じるものであるとして、「夫婦の義があってはじめて父子の間にも肉親の愛がめばえるのであり、父子が正しい愛で結ばれていればこそ君臣の関係もこの感情をおし及ぼして正しく成りたつのである。こういうわけで、婚礼こそはすべての礼の本になるものといえるわけである。礼というものは冠礼から始まり、婚礼を本として、喪祭を重んじてその終りを慎むのである。朝聘の礼を尊んで君臣の義を正しく保ち、射郷の礼をほどよく行なうことによって人々の気持をとけあわせなごませるのである。こういうわけで、婚礼こそはすべての礼の最も重要なる根本と云えるわけである」と訳しています。わたしは、これを読んで不思議に思いました。というのも、一般に、儒教では「葬礼」を重視することが知られています。しかしながら、『礼記』では「葬礼」ではなく「婚礼」が礼の最も重要なる根本であると述べています。これは、一体どういうことかと不思議に思ったのです。

●家族主義が冠婚葬祭を支える
この問題について、わたしは以下のように考えました。葬儀を行うためには家族の存在が必要です。葬儀の当事者は死んでいるわけですから、自分では葬儀を行なうことはできません。その家族をつくるためには夫婦が子どもを授からなければならず、そのためにはまず結婚しなければならないわけです。
家族を形成するにはまず結婚する必要があります。礼の精神は天地に基づき、具体的な制度としての礼は男女の婚礼から出発します。
家族主義は中国・朝鮮・日本といった東アジア全体に拡がっていきました。欧米の影響でいくら個人主義が叫ばれようとも、東アジア人の基本は家族主義であり、それが冠婚葬祭という文化を支えているのです。
考えてみれば、結婚式や葬儀といった冠婚葬祭を行わなければ家族や親族といった「一族」が一同に会しません。そうなれば、ただでさえ進んでいる個人主義がさらに加速し、血縁というものは完全に崩壊するでしょう。
「葬儀を行なうためには、まずは結婚する」という認識が広まることを願ってやみません。そして、それは日本人の生存戦略にほかならないのです。
そして、結婚とは最高の平和です。世界大戦の危機が囁かれている今こそ、一組でも多くの夫婦が誕生するお手伝いをし、「最高の平和」を実現しようではありませんか!

助け合ふ夫婦を作る手伝ひは
戦なき世の平和の祈り  庸軒