マンスリーメッセージ サンレーグループ社員へのメッセージ 『Ray!』掲載 2022.01

社会を持続させる互助会 ソーシャルビジネスの時代だ!

●養護施設で成人式を迎える
最近、わが社の社会貢献事業が注目を集めています。わが社の大志、すなわちサンレーズ・アンビションが次々に「かたち」となっており、話題を集めているのです。
まず、わが社では昨年から児童養護施設に入居している新成人に晴れ着などを提供し、記念の写真を撮影する取り組みを始めました。第一弾として「カリタスの国 天使育児園」(北九州市門司区光町)で暮らす新成人2人が12月4日、松柏園ホテルを訪れて晴れ着を選びました。
児童養護施設の入居児童に対しては従来、18歳未満までの支援が行われてきましたが、それでは社会的自立が難しいため、2017年度から22歳の年度末まで入居が可能となり、施設内で成人式の年齢を迎えるケースが増えてきました。
しかし、経済的に晴れ着を借りられない新成人がほとんどで、一生の記念となる成人式の写真も持っていません。

●晴れの日には晴れ着を
儀式を重んじる「礼の社」であるわが社では、経済的理由から人生の節目を実感できない児童のケアのため、晴れ着やバッグ、草履などの貸衣裳一式を貸与し、プロのカメラマンが記念写真を撮影してプレゼントすることにしました。新成人女子2人は、松柏園ホテル内の衣裳センターで試着したうえで、晴れ着などを決めました。
2022年1月9日に行われた北九州市の成人式式典には、この晴れ着で出席しました。わが社は同様に経済的理由から七五三の晴れ着撮影ができない北九州市内の6児童養護施設の児童に対しても、昨年から晴れ着の提供を呼びかけました。2021年12月1日の聖小崎ホーム(北九州市八幡西区)の6人を皮切りに、計28人の児童が七五三の晴れ着姿を撮影しました。きっと、児童たちによって良い思い出になったことでしょう。

●「日王の湯」での子ども食堂
また、12月7日には、天然温泉「ふるさと交流館 日王の湯」(田川郡福智町神崎)で「子ども食堂」を開催し、小中学生を無料招待しました。
これは、日王の湯周辺の福智町内の子どもを招待し、温泉での入浴やレストランでの食事(カレーライス)などを楽しんでもらう交流の場を設けたものです。NPO法人全国こども食堂支援センター むすびえ(東京都新宿区、湯浅誠理事長)の調査では、2021年12月時点で全国に子ども食堂が5086か所あります。ホテルや旅館で子ども食堂を展開しているケースはありますが、全国的に見ても「日王の湯」のような天然温泉と子ども食堂を合わせて実施している例は珍しいそうです。今後は、原則月1回のペースで開催していく方針で、今年1月の第2回からは毎月第2火曜に行う予定です。

●ソーシャルビジネス
養護施設への晴れ着の無償提供、温浴施設での子ども食堂開設は大きな話題となり、マスコミ各社からも取材の申し込みも相次ぎました。取材ではよく、「なぜ、このような社会貢献事業をされるのですか?」という質問があります。わたしは、「わが社の本業である冠婚葬祭互助会はソーシャルビジネスだからです」とお答えしています。
ソーシャルビジネスとは、高齢者や障がい者の介護・福祉、子育て支援、まちづくり、環境保護、地域活性化など、地域や社会が抱える課題の解決をミッション(使命)として、ビジネスの手法を用いて取り組むものです。「人間尊重」としての礼の精神を世に広める「天下布礼」の実践です。

●すべての人に儀式を!
晴れ着の無料レンタルは、儀式というわが社の本業というべきものの意味と価値を世に広く問うものです。七五三は不安定な存在である子どもが次第に社会の一員として受け容れられていくための大切な通過儀礼です。
成人式はさらに「あなたは社会人になった」というメッセージを伝える場であり、新成人はここまで育ててくれた親や地域社会の人々へ感謝をする場です。長寿祝いも含めて、すべての通過儀礼は「あなたが生まれたことは正しい」「あなたの成長をこの世界は祝福している」という存在肯定のセレモニーです。万物に光を降り注ぐ太陽のように、サンレーはすべての人に儀式を提供したいという志を抱いています。

●SDGsと冠婚葬祭
これらわが社の一連の活動は、SDGsにも通じています。「持続可能な開発目標」という意味ですが、冠婚葬祭互助会は社会を持続させるシステムそのものです。
結婚式は、夫婦を生み、子どもを産むことによって人口を維持する結婚を根底から支える儀式です。一方で葬儀は、儀式とグリーフケアによって死別の悲嘆によるうつ、自死などの負の連鎖を防ぐ儀式です。冠婚業も葬祭業も単なるサービス業ではありません。社会を安定させ、人類を存続させる文化装置です。
そして、互助会の根本理念である「相互扶助」は、社会の持続性により深く関わります。
SDGsは環境問題だけではありません。人権問題・貧困問題・児童虐待・・・・・・すべての問題は根が繋がっています。そういう考え方に立つのがSDGsであるわけです。その意味で入浴ができない、あるいは満足な食事ができないようなお子さんに対して、見て見ぬふりはできません。「相互扶助」をコンセプトとする互助会こそはソーシャルビジネスであるべきです。互助会ほど大志を掲げ、かつ、それを果たせる業界はないのです。

世の中を続けるための助け合ひ
礼の社(やしろ)の出番が来たり  庸軒