AIは最新の科学、儀式は最古の科学 礼の言霊を動画で拡散しよう!
●財団の歴代理事長座談会
10月15日、わたしが理事長を務める一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団の理事会終了後、創立10周年記念の歴代理事長座談会に参加しました。座談会では、わたしが司会進行も務めることになりました。場所は、冠婚葬祭総合研究所の図書室でした。
歴代理事長座談会の参加者は、初代理事長の齋藤斎氏(ベルコ社長・全冠協会長)、第2代理事長の山下裕史氏(117社長・全互連会長)、第3代理事長の渡邊正典氏(メモワール社長・全互協会長)、第4代理事長の金森茂明氏(レクスト会長・葬祭ディレクター協会会長)と第5代理事長のわたしを加えた5人。泣く子も黙る業界の重鎮が勢揃いしました。
4人の歴代理事長からお話を伺った後、わたしは、創設10周年委員会の設置、10周年記念事業、上級グリーフケア士資格制度スタート(2025年8月)、今後の冠婚葬祭文化振興財団のあり方、また互助会のあり方などについて発言しました。
●儀式は人類存続のための文化装置
座談会の会場は、冠婚葬祭総合研究所の図書室でした。わたしがこれまでに書いてきた「一条本」のほとんどが置かれていました。こんなに心強い用心棒はいません。その中でも、10年前の2015年に上梓した『儀式論』(弘文堂)の存在が大きかったですね。600ページの大作ですが、重厚なケースの帯には「人間が人間であるために儀式はある!」と大書され、続けて「儀式とは何か? 有史以来の大いなる謎に挑む、知の大冒険! 儀式が人類存続のための文化装置であることを解明し、儀式軽視の風潮に警鐘を鳴らす、渾身の書き下ろし!」と書かれています。座談会では、わたしは「最も新しいものはAIですが、最も古く、最も普遍性のあるものは儀式です」と発言しました。みなさん、頷いて下さいました。
●人類を幸福に導く「最古の科学」
じつは現在、世界的に「儀式」が注目されています。最近、『儀式論』と内容が非常によく似た本を読みました。『RITUAL 人類を幸福に導く「最古の科学」』ディミトリス・クシガラタス著、田中恵里香訳(晶文社)です。著者は、コネチカット大学・実験的人類学研究室長。認知人類学者。南ヨーロッパとモーリシャスでフィールドワークを行った後、プリンストン大学、オーフス大学で役職を歴任し、マサリク大学・宗教実験研究研究所の所長を務めました。
同書のアマゾン内容紹介には、「世界を変えるための『最古の科学』が「儀式」だった――。生活や価値観が猛スピードで変化する現代。昔からある『儀式』は単調で、退屈で、無意味にみえる。でも、ほんとうに? 認知人類学者の著者は熱した炭の上を歩く人々の心拍数を測り、インドの祭りでホルモンの増減を測定。フィールドに実験室を持ち込んで、これまで検証されてこなかった謎めいた儀式の深層を、認知科学の手法で徹底的に調査する。ハレとケの場、両方にあふれる「儀式」の秘密と活用のヒントを探究する空前の書」と書かれています。
●儀式は太古から人々に必要とされた
同書の第一章「儀式のパラドックス」では、「儀式は私たちの社会的慣習のほぼすべての根本にある」として、著者は「小槌を振る裁判官や、就任宣誓をする新大統領を思い浮かべてみるだけでもわかるだろう。軍隊でも政府機関でも企業でも、入所式やパレードというかたちで、また忠誠を誓うためにより手間のかかるかたちで儀式が執り行われる。重要な試合でいつも同じソックスを身に着けるスポーツ選手や、高額な賞金がかかるとサイコロにキスしたり幸運のお守りを握りしめたりするギャンブラーもいる。日々の生活のなかで、私たちはみな儀式を行っている。乾杯のときにグラスを掲げ、卒業式に出席し、誕生日会に参加する。儀式は、太古から人々に必要とされ、これから見ていくように人類の文明のなかできわめて重要な役割を果たしてきた」と具体例を挙げています。
また、わたしたちがこんにち享受している快適さが近い将来脅かされることはないと考える根拠はないといいます。それどころか、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、現代の人間の存在がどれほど脆弱なものかを浮き彫りにしました。
●儀式の重要性をAIが説く時代
これらの事実を踏まえて、著者は「これは、激動の時代が始まる予兆にすぎないのかもしれない。さらに、持続不可能な成長と地球資源の過剰利用、気候危機、政治的失敗が拍車をかけている。もしそのとおりなら、来るべき暗黒の時代は、これまで以上に儀式の力に頼ることになるかもしれない。心を平安にして連帯を育み、そしてこの世界は意義があり継続していくという感覚を生み出すためだ」と述べています。拙著『心ゆたかな社会』(現代書林)の帯に使った「コロナからココロへ」というキャッチコピーを思い出します。
財団の歴代理事長座談会では、ある歴代理事長が「これからの冠婚葬祭に必要なものは哲学だ」と言っていました。それなら、わが社のお家芸であります。
最近、わたしがこれまで世に送り出してきた多くのハートフル・キーワード、いわば「礼の言霊」を2分間ほどの動画にしてYouTubeにアップしています。
「儀式の意味や重要性がわかりやすく説明されている」と、冠婚葬祭業界をはじめとして話題となっているようですが、じつはこの動画、生成AIで作成しています。AIという最新の科学を駆使して、儀式という最古の科学の重要性を訴えました。
「天下布礼」のためにも、「礼の言霊」のAI動画をどんどん拡散して下さい!
儀式なる最古の科学説くために
天下布礼のAI動画 庸軒