老害から老福へ・・・ 人は老いるほど豊かになる!
●「笑いの会」が100回目に
10月24日の朝、龍を見ました。本社社員旅行の最中でしたが、まさに吉兆です。今月18日、わが社は創立57周年を迎えます。10月12日、「笑いの会」が100回目を迎えました。天道館を訪れたわたしは、主催者を代表して挨拶しました。まずは、「今日は特別な日です。2014年11月13日に第1回が開催された『笑いの会』が、おかげさまで記念すべき100回目を迎えることができました。この素晴らしい瞬間を皆様と共有できることを、心から嬉しく思います」と言いました。
わたしは「この会は、『人は老いるほど豊かになる』という『老福』の考えのもとに始まりました。小ノ上マン太朗先生をはじめ、皆様の支えがあってこそ、コロナ禍も乗り越えて100回という道のりを歩むことができました。2020年には『北九州市健康づくり活動表彰』において優秀賞にも選ばれました。今日の100回記念イベントでは、楽しい時間を過ごし、新しい思い出を作り、更なる素晴らしい未来に向けてエネルギーを充電して下さい!」と述べました。
●マスクの下は笑顔です!
それから、オレンジ色の不織布マスクを外すとき、「マスクの下は……笑顔です!」と言って、満面の笑みを見せたところ、大歓声に包まれました。続いて、わたしは「わたしは、多くの著書で『人は老いるほど豊かになる』と訴えてきました。わたしも今年で60歳になりました。還暦を迎えたわけですが、みなさんから見れば、まだまだ若造かもしれません。あと何年生きられるかわかりませんが、笑いながら楽しく生きていきたいと願っています。これからも、みなさんと共に素晴らしい瞬間を分かち合い、成長していけることを楽しみにしています。それでは、100回記念のイベントを心から楽しんでいきましょう。本日は誠にありがとうございました!」と述べたのでした。
その後、「笑いの会」の活動に多大な貢献をしていただいた「博多笑い塾」塾長である小ノ上マン太朗氏に表彰状を贈らせていただきました。記念品と翌日発売の『年長者の作法』も添えさせていただきました。
●「笑い」とウェルビーイング
マン太朗氏が塾長を務める「博多笑い塾」とは、日本初の「笑い」のNPO法人です。福岡を拠点に、笑いの健康をテーマとして、笑いの医学的効用についての研究や実践を通した活動を行っています。素晴らしい活動だと深く敬意を表します。表彰式の後は、小ノ上マン太朗、太丸ばあちゃん、涼風歌萌、吉田ジュンジュン、山本譲一といった方々によって会場は爆笑の渦に巻き込まれました。
「笑い」は持続的幸福としてのウェルビーイングにとって非常に重要です。わが社は40年前から「幸せ」の追求に取り組んできましたが、「笑い」が大きな役割を果たしました。わが社は「落語の会」や「笑いの会」の開催を通して、笑いによる縁としての「笑縁」作りに励んできたのです。
今年、わたしは60歳の誕生日を迎えました。世間では、伝説の名俳優・嵐寛寿郎をもじって「アラカン」と言います。「カン」は「還暦」のカンでもあります。還暦を迎えたわたしは、年長者の仲間入りをしました。
●誕生日を祝い、長寿を祝おう
ここ数年は、コロナ禍のせいで誕生日を祝ってもらえなかった人も多いでしょう。誕生日を祝うとは、「あなたがこの世に生まれたことは正しいですよ」と、その人の存在を全面的に肯定することだと思います。人間関係を良くする最高の方法です。
わたしは冠婚葬祭互助会を経営しながら、人間尊重の精神である「礼」や、それを形にした「作法」を重んじています。小笠原流の礼法家としても活動しています。これまで多くの年長者の方々と出会い、学びを得てきました。その経験からも、この先の人生を豊かにするためには、「礼」や「作法」が必要であると痛感します。
一方で、世間では「老害」などという言葉が使われています。人は老いるほど豊かになる「老福」をめざすべき、というわたしの考え方とは相容れません。社会はもちろん、年長者自身も老いを前向きにとらえることができなくなっています。
世間・社会で迷惑なふるまいをする高齢者を「老害」と呼びますが、往々にしてそう思われるような行為をする当事者には「自制すべきだ」という認識はないようですね。自らの老いの現実を受け入れることができないことが、原因のひとつといえると思います。
●長寿祝いは人生の祝勝会
つまり「老害」を起こしにくくするには、「老い」をポジティブに受け入れることで、老いの現実を受け入れやすくすることが重要ではないでしょうか。日本の神道は、「老い」を人が神に近づく状態ととらえます。その考えのもとに長寿祝いを行うこと、知り合いの葬儀にはなるべく参列すること。この2つが自然に「老い」と「死」を受け容れて、「老福」人生を実現します。
わたしは、年長者が穏やかに、かつ毅然と生きる道を示すべく、同書を書きました。わたしにとって、理想の年長者は、父である佐久間進会長です。米寿を迎えて、黄金の冠とちゃんちゃんこを着た佐久間会長はとても嬉しそうでした。
長寿祝いは、高齢者が厳しい生物的競争を勝ち抜いてきた人生の勝利者であることを示し、「人は老いるほど豊かになる」ということをくっきりとした形で見せてくれます。長寿祝いとは、大いなる人生の祝勝会です。そして、冠婚葬祭は、人生の四季を愛でる儀式なのです!
老いるほど豊かになると知る人の
笑ひで開く老福の道 庸軒