サンレーは文化を守る会社 そして女性が活躍できる会社
●サンレーは礼業の会社である
今年もフレッシュな新入社員のみなさんがたくさん入社してくれました。
心より歓迎いたします。この時期を迎えるたびに、わたしも社長として身の引き締まる思いがします。新入社員のみなさんは、これまで学生として授業料というお金を払って勉強しましたが、これからは会社が給料というお金を払います。
さて、みなさんは「サンレーは何の会社ですか」と聞かれたら、どのように答えますか。多くの人は「冠婚葬祭の会社です」と答えることでしょう。
でも、サンレーは結婚式や葬儀のお手伝いだけでなく、婚活支援サービスやグリーフケア・サポートも行っています。ホテルや温浴施設も経営し、隣人交流イベントも多数開催し、児童養護施設の支援も行っています。それらの事業はすべて「人間尊重」をコンセプトとしています。
そして「人間尊重」をひとことで言うと「礼」ということになります。そうです、サンレーとは「礼」の実践を業(なりわい)とする「礼業」なのです。世の中には農業、林業、漁業、工業、商業といった産業がありますが、わが社の関わっている領域は「礼業」です。
「礼業」とは「人間尊重業」であり、「ホスピタリティ・インダストリ―」でもあります。そして、ウェルビーイング経営を行うコンパッション企業を目指しています。「ウェルビーイング」とは「幸せ」、コンパッションとは「思いやり」のことです。
●サービス業から文化産業へ
わが社は、サービス業からケア業を経て、さらには文化産業への進化を図っています。
わたしは現在、冠婚葬祭文化振興財団の理事長を務めています。「冠婚葬祭文化」といいますが、冠婚葬祭は文化そのものです。日本には、茶の湯・生け花・能・歌舞伎・相撲・武道といった、さまざまな伝統文化があります。そして、それらの伝統文化の根幹にはいずれも「儀式」というものが厳然として存在します。たとえば、武道は「礼に始まり、礼に終わる」ものです。すなわち、儀式なくして文化はありえません。その意味において、儀式とは「文化の核」であると言えます。
儀式が「文化の核」なら、冠婚葬祭は「日本文化の集大成」です。茶道、華道、香道といえば日本文化を代表する「三大芸道」ですが、仏式葬儀の中にはお茶もお花もお香も、すべて含まれています。「日本文化の集大成」としての冠婚葬祭を見た場合、「食」や「装」や「歌」や「書」の文化があります。いかに冠婚葬祭がさまざまな文化と密接に関連し、あるいはそれを保全する役割を担っているかがわかります。
●「こころ」と「かたち」
まさに、冠婚葬祭とは「日本文化の集大成」であり、冠婚葬祭の存在なくして日本の伝統文化はもちろん、近代になって生まれたものも含めた諸文化を論じることも難しいです。すなわち、冠婚葬祭の諸儀礼を行うことがそのまま日本文化の継承となるのです。
代表的な「日本文化」に茶道があります。
茶道といえば、茶器が大切です。茶器とは、何よりも「かたち」そのもの。水や茶は不安定です。それを容れるものが器です。水と茶は「こころ」です。「こころ」も同じように不安定です。ですから、「かたち」としての器に容れる必要があるのです。
その「かたち」には別名があります。「儀式」です。茶道とはまさに儀式文化であり、「かたち」の文化です。人間の「こころ」は、どこの国でも、いつの時代でも不安定です。だから、安定するための「かたち」すなわち儀式が必要なのです。冠婚葬祭とは儀式そのものですから、冠婚葬祭には人の「こころ」を安定させ、「しあわせ」にする「かたち」の力があるのです。
●礼法は最強の護身術
サンレーでは「礼」をすべての基本としています。考えてみれば、人間のコミュニケーションの中で、礼儀正しさほど、人と交換しやすいものはありません。それを他人に差し出せば、必ず返ってくるのです。そして相手の気持ちを良くするのです。
相手に自分は重要な人間なのだという気持ちを起こさせます。失礼に扱われることほど人間のプライドをひどく傷つけるものはなく、相手に接するとき礼を失すれば、相手の攻撃心と敵意を引き起こすことになります。逆に、礼儀正しく接すれば、攻撃心や敵意など生まれるはずもありません。挨拶は身を守る鎧であり、礼法とは最強の護身術なのです。
現在、企業における最大のキーワードの一つに「コンプライアンス」があります。「法令遵守」を意味する言葉ですが、法律を守るのは当たり前のこと。わたしは「法」の前に「礼」があると思っています。
企業をめぐるキーワードには「ハラスメント」もあります。セクシャルハラスメントとパワーハラスメントの両方を合わせて「セ・パ両リーグ」などと呼ぶようですが、わたしは、ハラスメントの問題とは結局は「礼」の問題であると考えています。「礼」とは「人間尊重」であり、この精神さえあれば、ハラスメントなど起きようがありません。
今年入社した新入社員は女性が多いですが、世界は猛烈な勢いで「女性の時代」へと突き進んでいます。世界各国の大統領や首相にはどんどん女性が就任するでしょうし、いずれは女性のローマ法王や女性天皇も誕生するはずです。わが社は女性がその能力を最大限に発揮できる会社を目指します。女性管理職、女性役員も積極的に作りたいと思います。
もちろん女性だけでなく、男性にも期待しています。新入社員を迎えて、わたしたちは人々の「こころ」を冠婚葬祭という「かたち」で守る文化の防人として、心ゆたかな社会の実現を目指していきましょう!
若人を迎へて思ふ わが務め
人のこころをともに守らん 庸軒