平成心学塾 図書篇 ブック・セレクション #049

【人間学】吉田松陰名語録

吉田松陰名語録

著者:川口雅昭

出版社:致知出版社

 

幕末長州の一寒村に誕生した松下村塾という私塾。ここでわずか2年の間に、高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文、山県有朋など、多くの維新の指導者たちを育て上げた吉田松陰。
本書は、29年という奇跡の人生を歩んだ松陰の残した言葉から心魂に響く130の名言を選び、「いかに生くべきか」の観点ぁら解説を加えたものである。どれも名言ばかりだが、わたしは特に次の2つの言葉が強烈に心に残った。
まず、第一番の「志を立てざるべからず」。松陰は、「志の高さが人生を規定する」と考えた。日々の生き方は志次第で決まり、変わる。会社の経営者も、志が単なる希望や望みではないことを肝に銘じて、今の志を常に振り返り、より正しく、大きなものとしたい。
もう1つは、第67番の「万巻の書を読むに非(あら)ざるよりは、寧(いずく)んぞ千秋の人たるを得ん」。万巻の書を読破するのでなければ、どうして長い年月にわたって名を残す人になれるだろうかという意味である。読書の重要性をシンプルに説いている。
野山獄における松陰は入獄早々から猛然と読書を始めた。彼はここでの読書ぶりを「野山獄読書記」に書き残しているが、1年3ヶ月の在獄期間中に読破した冊数は、なんと六百冊にものぼる。それを知ったわたしは、大変ショックを受けて発奮し、松陰に負けないように読書に励んだ思い出がある。そのとき読んだ本の中に、致知出版社の本が多かったのである。いま、松陰名語録を致知の本で紹介していることに不思議な縁を感じてしまう。