【おすすめ】仕事論 ~自分だけの「人生成功の方程式」をつくる~
著者:岬 龍一郎
出版社:PHP研究所
本著は、『武士道』、『学問のすすめ』などの現代語訳で知られる、岬龍一郎氏の著作である。
私達が、仕事を選択する際のポイントは何でしょうか?給与、ステータス、やりがい、福利厚生など人によってその基準は様々である。現在の日本は、景気が回復しつつあるとはいえ、まだまだ完全な回復には至っておらず、同時に社会の様々な歪みをうかがわせるような事件や問題が多発している。戦後の日本は、欧米の経済スタイルの追従路線をひた走り、世界有数の経済大国となったが、その一方で、過労死、自殺、ニート、フリーター、イジメ、格差社会など深刻な問題が生じ、社会は混迷を極めている。本書では、各時代の偉大な先人たちが遺した名言や知恵、生き方を紹介し、仕事へのひいては人生の成功への哲学を学びとるよう説き、かつて日本人の誰もが持っていた、精神的支柱(「公」の精神(社会に尽くす心)と「志」)や伝統的精神文化を取り戻すことの大切さを訴えかけている。中でも、福沢諭吉の言葉とされる『心訓七則』を取り上げ、仕事と社会がいかに密接に繋がっているか、私利私欲を捨て、志を持ち、公の精神で職務を全うすることによって、人格と才能が鍛えられて自分の存在意義を見い出し、その結果一人ひとりの力が社会に還元され、日本社会を本当の意味で豊かな国へと発展させていけると説いている。
現代の日本人が喪失してしまった貴重な精神的遺産を取り戻し、日本を心ゆたかな社会、ハートフル・ソサエティへと成長を促す名著である。