【おすすめ】人間を考える ~新しい人間観の提唱 真の人間道を求めて~
著者:松下幸之助
出版社:PHP文庫
本書は、松下電気創業者であり、苦難の末、経営者として稀にみる成功をおさめ、「経営の神様」とまで呼ばれた松下幸之助氏の著作である。
混迷を深め、人間が自らを見失いつつある現代。著者は、自然に対し弱い存在と認識されがちな人間を、あえて万物の王者であるとし、そして人間は、万物を支配活用しながら、物質と精神を調和、繁栄させる事のできる優れた本質を持っていると定義している。また、人間がこの事を正しく自覚し、認識するならば、人種、国家の枠を超えて相互理解を目指し、個々の知恵を超えた、集団の知恵を寄せ合い、様々な知恵の融和により、人間のさらなる進化創造を目指すことができるとしている。そして、そうした過程で最も大切な事は、「素直な心」を持つ事である。1つの事にとらわれず、物事をあるがままに見ようとする心が、真の素直さであり、人間を正しく、強く、聡明にするものであると説いている。
筆者が日々の事業と思索のなかで到達した一つの結論。宇宙の理法から人生の真理まで、人間として、ひいては人類としての意識革命を迫る渾身の1冊である。