平成心学塾 図書篇 ブック・セレクション #010

【おすすめ】会えて、よかった

会えて、よかった

著者:黒田 清

出版社:三五館

 

人の顔や性格がそれぞれ違うように、人それぞれの人生や境遇も違う。身体的なハンディを背負った人、難病に冒された人、さまざまな差別を受けた人。本書には、いわれのない許されざるべき差別や虐待、病苦や苦難に見舞われた人など、人生の辛酸をなめ尽くしたとも言える人々が登場する。そして、彼等が苦しみの中から立ち上がり、見事逆境を乗り越え、力強く生き抜いていくさまを紹介している。現在日本では、世代を問わず自殺者が急増している。深刻な悩みを抱えての自殺もあれば、自分自身が、様々な人々や社会との関わりの中で“生きている”という実感がなく、『この世は生きるに値しない』といった虚無感から、命を絶ってしまう若者達さえいる。また、自殺には至らずとも、私達には時として絶望感や虚無感に襲われ、打ちのめされる瞬間があるはずである。そんな時、本書は私達に彼等の生きざまを通して、人間の素晴らしさを教え、勇気を与えてくれるのである。
人間一人ひとりの素晴らしさ、そしてそれぞれの人生を大切に生きることへの価値や意義。そうしたことに気付かせてくれる心の処方箋である。