『AI時代の読書術』藤井孝一著(ぱる出版)
正式なタイトルは、『本当に頭のいい人が実践しているAI時代の読書術』といいます。著者は経営コンサルタント。株式会社アンテレクト取締役会長。年間1000冊以上のビジネス書に目を通し、300冊以上読破する愛読家。その経験を活かして発行される要約と書評のメールマガジン「ビジネス選書&サマリー」は、同分野で日本最大級の読者数を誇るそうです。読書に関する著書多数。
はじめに「AI時代に生き残るのは、本当に頭のいい人」の冒頭を、著者は「2022年11月に登場したChatGPTをはじめとする生成AIは、衝撃をもって迎えられ、ビジネスの分野にも普及しつつあります。これから仕事の効率を上げ、新たな可能性を引き出すことが期待されています。同時に、心配する声も上がっています」と書きだします。
仕事のあり方は大きく変わり、職種によっては、仕事を失ってしまうケースも想定されます。著者の周囲でも、資料や企画書の作成や簡単な原稿、翻訳などChatGPTに作らせるようになったという人が少なくないそうです。つまり、それまでこれらの仕事を担っていた人は、すでにその仕事を失っているわけです。この流れは止められないでしょう。でも、そんな時代だからこそ、著者は「私たちは脳を鍛えるべきだ」と主張します。
なぜなら、AI時代こそ、AIを使いこなす人間の頭脳が必要だからです。また、様々な領域で知的な活動がAIに代行されるようになり、むしろ意識的に頭脳を動かす必要があると指摘し、著者は「脳が正常に機能していることは、人間が生きていくうえで不可欠ですが、脳も筋肉同様、使わなければ衰えていきます。脳をさび付かせないためには、脳を使う必要があるからです。読書は、そのための重要な役割を担うと思います」と述べます。
読書が頭脳を鍛える上で効果的な手段であることは多くの研究で裏付けられています。それを踏まえた上で、著者は「読書で得た知識をアウトプットする」ことの重要性を訴えます。記憶力とは、憶える力だけでなく、思い出す力でもあります。本の内容を思い出しながら、その内容について繰り返し話すことで、はじめて定着し、思い出せるようになるというのです。
著者は、「本から学んだことを、いつでも再生できるようにすることで、はじめて使える知識と言えます。そのためにはアウトプットし続けるしかない」と述べます。読んだら話すことが一番ですが、結果的に話さなくても、アウトプットを想定して読むことで読書は主体的になります。話し相手を想定し、その人にどう話せば伝わるかを考えながら読むだけで、読書は主体的になるというのです。この著者の考えには大賛成!