ハートフル・ブックス 『サンデー新聞』連載 第154回

『勉強が死ぬほど面白くなる独学の教科書』中田敦彦著(SBクリエイティブ)

 吉本興業を退社し、シンガポール移住を決めたお笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の中田敦彦氏の著書です。YouTuberとしても大活躍の著者ですが、『鬼滅の刃』と「新選組」の解説動画が非常にわかりやすかったので、感銘を受けました。
 2019年、YouTubeチャンネル「YouTube大学」を開設し、歴史や文学、政治経済などの授業動画の配信をスタート。開設からわずか4か月でチャンネル登録者数が120万人を突破するほどの爆発的な人気を得ました。現在の登録者は、更に増えてなんと330万人以上です。
 第1章「中田敦彦式 独学勉強法6つのルール」では、「これから、『独学』は必須スキルになる!」として、著者は「僕にとって教養は、『大人の必須アイテム』です。なぜ、必須かというと、教養は自分を『アップグレード』させるために欠かせないものだからです」と述べ、さらには「今、世界がこれまで人類が経験したことがないほどの大きな変化を迎えようとしています。そんな時代に、自分が持っている経験と知識だけで立ち向かおうとするのは、冷静に考えて、かなり無理があります。だから、『新時代を生き抜くための教養』が、大人が生きていく上での必須アイテムなのです」と述べています。
 著者は、ネット記事を読んだだけで満足してはダメだとして、「ネットで入手できるのは、あくまでも『単発の情報』だからです。ネット記事は散文的で、テーマを立体的に理解するには不十分なのです。ネットの有料ニュースサイトなどで主要な記事をチェックした上で、情報を補完することが大切です。そこで有効なのが、読書。情報収集において、本は最も効率のよいツールです」と述べます。
 著者の場合、読みやすそうな本を2~3冊まとめて購入し、その足で喫茶店に入り、読み比べるそうです。そのうち1冊を軸にして、残りは補完的に参考にするのだとか。
 読書法について、著者は「僕は同じ本を2回読みます。1回目はザっと読み、2回目で気になった箇所に線を引くのです。(中略)本を読んでいて気になったキーワードはネットで調べる。この流れが、情報収集法としては、現時点でベストです」と述べています。
 わたしが感銘を受けたように、著者の「YouTube大学」は、本当にわかりやすくて面白いです。このような動画で学べる現代の子どもたち、いや大人たちも本当に恵まれています。わたしも大学の教壇に立って講義をする身なので、動画での著者のレクチャーぶりは勉強になりました。なお、同動画は、拙著『「鬼滅の刃」に学ぶ』(現代書林)を書くときにも参考にさせていただきました。