ハートフル・ブックス 『サンデー新聞』連載 第196回

『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』

 著者は、1960年、東京都生まれ。同志社大学神学部卒、同志社大学大学院神学研究科修了(神学修士)。1985年に外務省入省。英国の陸軍語学学校でロシア語を学び、その後、モスクワの日本国大使館、東京の外務省国際情報局に勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、東京地検特捜部に逮捕、起訴され、無罪主張をして争うも、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失いました。著書多数。
 本書の帯には「知の巨人が、たどり着いた人生の最終結論」「『定年後が人生で一番楽しい』が手に入る」と書かれ、帯裏には「還暦を迎えた人たちがどんな心構えを持ち現実的にどう対応すべきなのか?人生の最終コーナーを回って自分のゴールを達成するためには、何が必要なのか?」として、「人生の最終コーナーを回って自分のゴールを達成するためには、何が必要なのか?嫌いな人たちにまで交友範囲を広げて、それを維持する必要はない。残された人生の時間を、ストレスなく生きることに集中すべきなのだ」とあります。
 著者は63歳のとき、大学病院で腎臓移植手術を受けたのですが、「妻からもらった腎臓が私の体に定着すると、手術後、数日の段階で、目に見えて体調が良くなった。現代医学の素晴らしさを、まさに体感した。しかも、こうした高度医療を、一定の金額を超えずに受けられるのが、日本という国なのである」と書いています。日本には高額療養費制度があります。すなわち、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月の上限額を超えた場合、その超えた金額を支給する制度です。
 腎臓移植の場合、手術費用や免疫抑制剤などが高額になるため、著者の場合、非常に助かったそうです。著者は、「実は江戸時代でも、60歳を超えて生きた人たちの寿命は長かった。しかし、脳卒中や心臓発作、あるいは外傷などに対する救急医療はなかった。ということは、いま60歳以上の人たちは、まさに『楽園』に住んでいるとさえ言えるのではないだろうか」と述べています。
 著者は、いわゆる「鈴木宗男事件」の嵐に巻き込まれ、逮捕されました。その後、東京拘置所の独房に512日のあいだ勾留されましたが、「このような『苦難』を日本で経験した私ではあるが、外交官としての海外における経験に鑑みると、やはりこの国は『世界一の楽園』だと思う」と述べます。医療だけではありません。おカネ、家族関係、仕事、勉強、交友関係、マインド、趣味など、あらゆる視点から日本が「世界一の楽園」であることを証明している本です。本書を読めば、年齢を重ねることの不安が消えます。