『ぼくだったのかもしれない』藤原ひろのぶ作・ほう絵(三五館シンシャ)
わずか64ページの上製本です。基本的に絵本なのですが、絵と文章のほか、写真も掲載されています。最高にハートフルな1冊で、わたしのハートにヒットしました!
表紙には、帽子をかぶった男の子の絵が描かれ、帯には黒い肌をした少年の写真とともに「彼の名前はリアド・ハサン」「バングラデシュに実在するストリートチルドレンの少年とぼくの本当にあった物語」「『ぼく』は『あなた』かもしれない」とあります。
著者の藤原ひろのぶ氏は、1980年大阪府生まれ。NPO法人NGO GOODEARTH代表理事。大学卒業後、一般企業を3年で退社。社会の様々な問題に目を向ける中、「貧困」というテーマにたどりつき、ギニア、バングラデシュで現地雇用を創出するための事業を展開。現在は日本国内で年間300回以上の講演を行ないながら、バングラデシュで学校建設と食事支援を続けています。
本書を開くと、最初のページにはフードをかぶって空を見上げるリアド・ハサン君の写真が大きく掲載されています。彼はバングラデシュ国ダッカ(県)キルガン・バサボ・ワハブコロニー(地区)出身です。彼の写真の横には、「これから始まるのは バングラデシュという国に実在する 路上で暮らす少年と僕が出会った物語」「駅のホームで眠り いつもおなかを空かせていたあの子」「お金もない 家もない カバンもない あの子はなにも持っていなかった」と書かれています。
次にページをめくると、地球の上にバングラデシュ人の赤ちゃんと日本人の赤ちゃんが座っている絵が目に入ります。地球の上には満月が輝いており、「おんなじ地球(ほし)の おんなじ時間(とき)に あの子とぼくは生まれました」と書かれています。しかし、2人は違う国の違う言葉で育ちます。
日本の男の子は「あの子とぼくの生きてきた世界は ぜんぜんちがったのです」と思います。バングラデシュの少年は帰る家がなくて、駅のホームで寝ます。彼は働かないと、ごはんが食べられません。彼は1人で生きて、守ってくれる人がいないのです。
ふしぎな糸電話を使ってバングラデシュの少年の暮らしを知った日本の男の子は、「あの子とぼくはなにがちがうの?」と考えます。「生まれた場所がちがうだけで もしかしたら ぼくはあの子になっていたのかも」「もしかしたら あの子はぼくになっていたのかも」と思い至るのです。それだけでなく、日本の男の子は無数の「あの子」たちに支えられて生きていたことに気づきます。
本書は子どもだけでなく、大人にとっても多くの気づきを得られる1冊です。思いやりの心が生まれる、この本をぜひお読み下さい。