日本一の名脇役のいい話
今年、わが社は創立50周年を迎える。それを記念して、「サンレー文化アカデミー」をスタートさせた。
第1回は3月に作家の五木寛之さん、第2回は7月に女優のジュディ・オングさんの講演会を開催した。
そして、第3回は俳優の笹野高史さんを講師にお迎えした。
笹野さんは、「男はつらいよ」シリーズや「釣りバカ日誌」シリーズなど多くの映画に出演されている。真面目な役からコミカルな役まで、また時代劇から現代劇まで何でもこなす、「日本一の名脇役」である。
個人的に特に印象深いのは、米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」で演じた火葬場職員さんの役だ。彼は「死は門」であり、自分は「門番」だと、本木雅弘さん演じる納棺師に対して語った名シーンは今も心に残っている。
講演に先立って、笹野さんと会社の応接間でお会いし、お茶を飲みながら色々な話をさせていただいた。冠婚葬祭の話題も出たが、教養と人間味あふれるお話に感銘を受けた。
講演会は超満員で、冒頭のわたしの主催者挨拶に続いて、笹野さんが登壇。満場の拍手を浴びながら、1時間半の笹野節を聞かせてくださった。
演題は「待機晩成」だった。11歳のときに亡くなったお母様が大の映画好きで、それがきっかけで俳優を目指したものの、ずっと鳴かず飛ばず。失意の中にあったとき、渥美清さんが励ましてくれたという。
今では「日本一の名脇役」と呼ばれる笹野さんだが、好感度ナンバーワンの超人気CMであるau「三太郎」シリーズで花咲か爺に扮された。
笹野さんは、くだんのCMを初めて見たときに非常に気に入り、ツイッタ―で「花咲か爺の役で出してもらえないかな」とつぶやかれたとか。それを、たまたまauのお偉いさんが見ていて、夢が実現したのだそうだ。
最後に、笹野さんは「祈りや願いは通じますよ」と訴えられていた。本当にいい話を聴かせていただいた笹野さんに心より感謝したい。