『古事記』の舞台に感動
1月28日、わが社は「サンレー文化アカデミー」のイベントとして、東京ノーヴイ・レパートリーシアターによる舞台「古事記~天と地といのちの架け橋~」を上演した。会場は北九州芸術劇場であった。
東京ノーヴイ・レパートリーシアターは、東京・下北沢を拠点として多彩な活動を展開する劇団だ。芸術監督は、ロシア功労芸術家のレオニード・アニシモフである。
昨年、同劇団はロシア公演を行い、「古事記」を上演したが、「言語や民族を超えた普遍性がある」と超満員の観衆から絶賛を受けた。原作は、宗教哲学者である鎌田東二氏の力作『超訳 古事記』(ミシマ社)である。
この舞台、わたしは一昨年の秋に初めて観たのだが、まことに幻想的な演劇であった。第一部では『古事記』の冒頭部分の「天地のはじめ」が表現される。冒頭から、いきなり劇場内が真っ暗闇になって驚いた。闇から浮かび上がる神々はすべて白い装束を身にまとっていた。
このとき、わたしはなぜ神々や神主が白い装束で、加えて死者も白装束なのかを理解した。闇から出現する色は白をおいて他にはなく、また闇に溶け込む色も白以外にはない。
おびただしい数の神々の顔は一様に白く塗られ、いずれも笑みを浮かべている。一時間近くも胡坐をかいた後に垂直にスクッと立ち上がる俳優さんたちの脚力には感嘆した。やはりプロの役者は凄い!
第二部では、最愛の妻を喪ったイザナギが嘆き悲しむ場面から始まる。そう、『古事記』とは、悲嘆から回復するグリーフケアの物語なのだ。そして、グリーフケアとは、闇に光を射すこと。「天の岩戸」という洞窟に閉じ籠もっているアマテラスを明るい世界へ戻すことである。
そして、それが「むすび」につながる。「SUNRAY(太陽の光)」と「産霊(むすび)」がグリーフケアを介することによって直結することに、わたしは感動した。わが社は、今後もグリーフケアに努めたい。