独言 全互協会員様へのメッセージ『互助会通信』連載 130

「葬儀と供養のアップデート」

 本名で2冊の新刊を上梓した。1冊目は、『ロマンティック・デス~死をおそれない』(オリーブの木)。33年前に440ページのハードカバーで刊行した本がリボーンした。
 わたしたちは、この世に生を受けた瞬間から「死」に向かって一瞬も休まずに突き進んでいる。だからこそ、残された時間を幸福に生き、幸福に死にたい。これはおそらく、世の誰もが願うことであろう。
 わたしたち全員が「死」のキャリアであるならば、あらゆる人々が「死のロマン主義」を必要としていると言えよう。
 死は決して不幸な出来事ではない。わたしは、天に浮かぶ月を死後の世界に見立てることを提案する。そうすれば、誰もが幸福な死生観をもつことができるはずだ。死が不幸ではなくなる「ロマンティック・デス」を目指して、新時代の葬儀像を描いてみた。
 もう1冊は、『リメンバー・フェス~死者を忘れない』(オリーブの木)だ。供養のアップデートの提言書である。
 日本人は古来、先祖の霊に守られて初めて幸福な生活を送ることができると考えてきた。わたしは、先祖を供養してきた日本人の心を失ってはいけないと思っている。
 その代表たるお盆という形が、あるいは名称が現代社会になじまないなら、新しい箱(形)を作ればいいのではないかと思い至った。それが、ディズニー/ピクサーのアニメ映画の名作「リメンバー・ミー」からインスパイアされた「リメンバー・フェス」である。
 この新しいコンセプトがZ世代にも届くように、わたしは祈りとともに世に放った。未来に向けて放った矢が、「お盆」のイメージをアップデートし、「供養」の世界を大きく変えることを願っている。『ロマンティック・デス』と『リメンバー・フェス』で、死生観と葬儀と供養のレボリューションを起こしたい。