独言 全互協会員様へのメッセージ『互助会通信』連載 125

ウェルビーイング?

 いま、「ウェルビーイング」という言葉が時代のキーワードになっている。持続可能な開発目標としての「SDGs」は2030年までの期間限定であり、それ以降は「ウェルビーイング」に集約されると言われている。意味は、「幸福な存在、相手を幸福にする存在」ということになる。
 ウェルビーイングは、WHO(世界保健機関)憲章における、健康の定義に由来した思想である。その定義とは、「健康とは、たんに病気や虚弱でないというだけでなく、身体的にも精神的にも社会的にも良好な状態」というもの。しかし従来、身体的健康のみが一人歩きしてきた。
 ところが、文明が急速に進み、社会が複雑化するにつれて、現代人は、ストレスという大問題を抱え込んだ。
 ストレスは精神のみならず、身体にも害を与え、社会的健康をも阻む。健康は幸福と深く関わっており、人間は健康を得ることによって、幸福になれる。ウェルビーイングは、自らが幸福であり、かつ、他人を幸福にするという人間の理想が集約された思想なのだ。
 じつは、わが社は約40年前から「ウェルビーイング」を経営理念に取り入れてきた。1986年の創立20周年には「Being!ウェルビーイング」というバッジを社員全員が付け、社内報の名前も「Well Being」だった。当時の社長であった父の先見の明には大いに驚かされた。
 わたしは、ウェルビーイングとは「幸福」の同義語だと考える。冠婚葬祭互助会は、儀式を中心として、会員様に幸福を提供する組織だ。わが社は隣人交流イベントやグリーフケア、温浴事業、介護事業などを通じ、幸福を多角的にプロデュースしてきたが、その中核にはつねに「ウェルビーイング」があった。今後もさらに世のため人のために尽くしたい。