独言 全互協会員様へのメッセージ『互助会通信』連載 117

すべての人に儀式を!

 昨年から、弊社は児童養護施設に入居している新成人に晴れ着などを提供、記念写真を撮影する取り組みを始めた。
 施設の入居児童に対しては従来、18歳未満までの支援が行われてきたが、それでは社会的自立が難しいため、2017年度から22歳の年度末まで入居が可能となり、施設内で成人式の年齢を迎えるケースが増えてきた。
 しかし、経済的に晴れ着を借りられない新成人がほとんどで、一生の記念となる成人式の写真も持っていない。
 儀式を重んじる「礼の社」を目指す弊社では、経済的理由から人生の節目を実感できない児童のケアのため、晴れ着やバッグ、草履などの貸衣裳一式を貸与し、プロのカメラマンが記念写真を撮影してプレゼントすることにした。
 また同様に、経済的理由から七五三の晴れ着撮影ができない児童養護施設の児童に対しても、晴れ着の提供を呼びかけた。多くの児童が七五三の晴れ着姿を撮影。5年前から石川県で実施していたが、昨年から九州各地でも始めた。
 七五三は不安定な存在である子どもが次第に社会の一員として受け容れられていくための大切な通過儀礼である。
 成人式はさらに「あなたは社会人になった」「おめでとう」と伝える場であり、新成人はここまで育ててくれた親や地域社会の人々へ「ありがとう」「立派な社会人になります」という感謝と決意を伝える場ではないだろうか。
 長寿祝いも含め、すべての通過儀礼の本質は「あなたが生まれたことは正しい」「あなたの成長を世界は祝福している」という存在肯定のセレモニーである。冠婚葬祭互助会としての弊社は、万物に等しく光を降り注ぐ太陽のように、すべての人に儀式を提供したいという志を抱いている。そして、その志を「天下布礼」と呼んでいる。