独言 全互協会員様へのメッセージ『互助会通信』連載 113

心のサポーター

厚生労働省は、今年度から「心のサポーター(ここサポ)」の養成を開始する。うつ病などの精神疾患や心の不調に悩む人を支える存在で、精神疾患への偏見や差別を解消し、地域で安心して暮らせる社会の実現につなげる狙いだ。
「ここサポ」のなり手には、心の不調を抱える人の家族や友人、同僚らの他、地域の民生委員や企業の労務管理者などを想定しているという。
長引くコロナ禍でさらに人間関係が希薄になり、孤独感も広がっている。ソーシャルディスタンスで、身体だけでなく心も引き離されているコロナ社会において、「心のケア」は最優先課題であろう。
そして、特に重要となるのが「グリーフケア」である。現代社会では、心の問題が大きなものであると多くの人々が認めている。死別という人生最大の喪失を抱えたご遺族へのグリーフケアを行うことは現代社会を健全に保つために不可欠なものだ。
また大きなグリーフを抱えたご遺族だけでなく、ケアする側のケアも大切であるとされている。心の問題はすべての人に関わるものであることを忘れてはならない。
全互協のグリーフケアPTでは、いよいよ「グリーフケア資格認定制度」を開始する。全国の冠婚葬祭互助会の社員を中心に「グリーフケア士」の養成を目指すが、死別をはじめとしたさまざまな悲嘆に寄り添い、うつ病や心の不調を予防するプロである。「ここサポ」との関係性は強い。
厚労省は全国で100万人の「ここサポ」を養成するそうだが、各地の互助会との連動を視野に入れるべきだろう。わたし自身は、「グリーフケア士」が、プロの「ここサポ」と位置付けられるようになればと願っている。そして、その日はきっと近いだろう。それにしても、心のケアの時代が到来したと実感する。