独言 全互協会員様へのメッセージ『互助会通信』連載 122

葬式は不滅である

 新型コロナウイルスの収束が未だ見えない2022年6月に1冊の本が出版された。『葬式消滅』(G.B.)がそれだ。著者は宗教学者として有名な島田裕巳氏である。
 氏は、2010年に『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)を出版され、わたしは反論本という形で『葬式は必要!』(双葉新書)を書いた。また、島田氏が2015年、『0葬』(集英社)を書かれ、その折も反論として『永遠葬』(現代書林)を出版した。翌2016年、そんな島田氏との因縁に終止符を打つつもりで、二人の対談本『葬式に迷う日本人』(三五館)刊行したのである。
 そして三度、島田氏は『葬式消滅』というタイトルの本を出されたわけだ。「正直、懲りない方だな」と思いつつも、無視できない気になるタイトルであったのも事実だ。
 なぜならそれまでの「葬式の要・不要論」は個人の選択の中にあったが、『葬式消滅』のタイトルや内容からは「社会が葬式を必要としていない」――そんな印象を極めて強く受けたからである。
 コロナ禍で社会が大きく変わろうとしていく中、葬式も含んだ儀式が大きな転換期を迎えているという実感がわたしにもあった。島田氏はそうした世の中の風潮を敏感に感じ取り、今回の本を出された。
 コロナ禍の今、葬式は変わらなければいけない。要・不要論ではなく、どう変化していくかが重要で、要は「アップデート」が問題なのである。
 ダムは小さな穴から決壊するという。『葬式は、要らない』→『0葬』→『葬式消滅』という葬儀不要論の流れは、確実に「穴」が大きくなっている証拠ではないだろうか。
わたしは、今回も無視することはやめた。あえて3回目の反論をすべく、『葬式不滅』(オリーブの木)を書き上げ、世に問いたいと思う。どうか、ご一読を乞う。