独言 全互協会員様へのメッセージ『互助会通信』連載 119

沖縄復帰50年に思う

 5月15日、沖縄が日本本土に復帰して50年を迎えた。
 前日、「基地のない沖縄」を目指す平和行進が行われたが、復帰から半世紀を経て、基地問題の深刻さはそのままだ。
 さらにその前日には映画「シン・ウルトラマン」が公開された。1966年放送の空想特撮テレビドラマのリブート作品だが、もともとウルトラマンは米軍のような存在であったと考えられている。
 そもそも、ウルトラマンはなぜ、自分の星でもない地球のために戦ってくれたのか?その謎を突き詰めると、どうしても地球=日本、ウルトラマン=アメリカという構図が見えてくる。もっとも地球にも科学特捜隊すなわち科特隊(映画では禍特対)が存在するが、これはまさに自衛隊のような組織だと言えるだろう。
 ドラマ放映時は、小笠原諸島の日本復帰に向けての交渉がなされている最中であり、当時の日本政府は沖縄返還も持ち掛けていた。ちなみに、「ウルトラマン」の後継番組「ウルトラセブン」のヒーローは、「アメリカ第七艦隊」の意味という俗説も流布した。
 現在も米軍基地が残る沖縄で、わが社は冠婚葬祭施設を展開している。思うのだが、「セレモニーホール」とは「基地」の反対としての究極の平和施設ではないだろうか。
 「死は最大の平等」であり、亡くなった方々は平和な魂の世界へと旅立たれるからだ。基地が戦場へ赴く場所なら、セレモニーホールとは平和な世界へ赴く場所なのである。
 この沖縄の人々は、誰よりも先祖を大切にし、熱心に故人の供養をする。隣人も大切にする。さらには、「いちゃりばちょーでい」という方言があるが、「一度会ったら兄弟」という意味だ。沖縄は、大いなる有縁社会なのだ。
 今こそ、沖縄の「本土復帰」ではなく、日本の「沖縄復帰」が求められる。