令和こころ通信 『西日本新聞』連載 第18回

成人式に思うこと

「成人の日」の前日、北九州市の成人式が行われた。あいにくの雨だったが、来賓として招待されたわたしは、会場の北九州メディアドームを訪れた。

 冠婚葬祭業であるわが社にとって、成人式はビッグイベントだ。各地で運営するホテルや結婚式場でも振袖のレンタルを行っており、数多くの新成人のお手伝いをさせていただいた。当日は早朝からヘアメークや着付けを行うため、現場のスタッフたちはほぼ徹夜で準備からお見送りまでを行う。

 ただし気になることもある。わが社が本拠をおいている北九州市の成人式が「派手すぎる」と注目を浴びているのだ。派手なカラーのはかまで拡声器をもって練り歩く男性たち。花魁のように肩を出した女性たち・・・。

その異様な姿が多くのメディアで取り上げられ、あろうことかインターネット上では「安定のヤンキー文化」「修羅の国」などと正月の風物詩(?)として拡散しているとか。情けない。

 はっきりと言わせてもらう。わたしたちがお手伝いをさせていただいているお客様に「修羅の国」のようなスタイルをした方は一人もいない。早朝、眠い目をこすりながら家族とともに来館され、着付け後は晴れやかな笑顔で家族や友人たちと語らい、記念撮影をする姿はとてもすがすがしく、ほほ笑ましい。

「修羅の国」化は新成人たちだけのせいではない。ずばり言うが、「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」という成人式の趣旨を無視し、「稼ぐこと」にだけ特化した一部の業者による「間違えた差別化」がこのような現象を起こしている。

 また一部の事象のみを面白おかしく報道するマスメディアの姿勢にも問題がある。いずれにせよ、大人たちの商売の都合で、一生に一度の晴れの日を「修羅の日」にしてはならない。

 数年前、初めて成人式に招かれたわたしは、式典後すぐに市の青少年課に連絡し、成人式の正常化への全面協力を訴えた。

 この背景には、かつて沖縄の「荒れる成人式」を、わが社の新成人が清掃活動によって変えた実績があった。そして北九州でも、会場周辺で取り組む「おそうじ大作戦」を開始。オリジナルデザインのゴミ袋も作成して市に寄贈した。

 今年の「おそうじ大作戦」は、雨天のため中止となった。まことに残念だったが、奇抜な衣装も減り、明らかに北九州の成人式が変わってきた。儀式に関わる者として、嬉しい限りだ。

 ちなみに、北九州メディアドームには、わたしの次女の姿もあった。東京の大学に通っているのだが、今年、新成人となったのである。娘の晴れ着姿は、やはり眩しく、感慨深かった。