「風と共に去りぬ」再鑑賞
わが社では高齢の方のために無料の映画上映会を行っているが、この秋から映画史に残る三大名作を上映中である。その名も、「1939年映画祭」。
1939年は映画史における奇跡の年だった。西部劇の「駅馬車」、ラブロマンスの「風と共に去りぬ」、そしてミュージカルおよびファンタジー映画の「オズの魔法使い」と各ジャンルで最高傑作というべき3作がほぼ同時に誕生したからである。
この名作中の名作たちが今年で製作80周年を迎えた。この3作を愛してやまないわたしは、紫雲閣や三礼庵といった、わが社のセレモニーホール=コミュニティーセンターの施設数がこのたび80を超えたことを機に「末広がり」の縁で三大名画の80周年を記念した上映会の開催を決めたのだ。
ハロウィーンの日には、小倉紫雲閣の大スクリーンで「風と共に去りぬ」が上映された。この作品は、わたしが生まれて初めて観た本格的長編映画であり、わたしにとって不動の歴代ベスト1に輝く名作である。
わたしは、小学6年生のときに、この生涯の名作と出合った。1975年10月にテレビの「水曜ロードショー」で2週にわたって放映された「風と共に去りぬ」を観たのである。
主役のスカーレット・オハラを演じたヴィヴィアン・リーの美しさに子ども心に一目惚れしたわたしは、「将来、この人に似た女性と結婚したい!」と思ったものである。
さて、「水曜ロードショー」では、ヴィヴィアン・リーの吹替えを栗原小巻さんが担当したが、ラストシーンの「明日に希望を託して」というセリフが子ども心に深く残った。原作では”Tomorrow is another day.”というセリフだが、放送では「明日に希望を託して」というセリフに変えて、栗原さんが力強く言い放った。わたしは非常に感動し、わが座右の銘となった。
また、この映画を観ながら、「よく人が死ぬなあ」とも思ったものである。南北戦争で多くの兵士が死に、スカーレットの最初の夫が死に、二人目の夫も死に、親友のメラニーも死ぬ。特に印象的だったのが、スカーレットとレットとの間に生まれた娘ボニーが落馬事故で死んだことだ。わたしは「映画というのは、こんな小さな女の子まで死なせるのか」と呆然とした。
その一方、わたしは人生で最初に鑑賞したこの映画によって、「人間とは死ぬものだ」という真実を知ったといえる。
それでも、スカーレットは生きる希望を失わない。今回彼女の生きざまを再鑑賞してみて、「風と共に去りぬ」とは大いなるグリーフケアの物語であったことに気づいた次第である。