令和こころ通信 『西日本新聞』連載 第08回

盆踊りで有縁社会再生

 みなさんは、お盆をどのように過ごされただろうか。

 仏教行事としてのお盆は、釈迦の弟子だった目連の母親が餓鬼道に落ちた時、釈迦の教えに従って多くの僧たちを供養することで、母を救ったところから始められたものだという。

 現在では、お盆は神仏や先祖の御恩に感謝し、先祖をしのぶ行事であり、それぞれの地域の特性を出しながら、日本各地で行われている。

 さて、夏の風物詩といえば、盆踊りだ。もともとはお盆の行事のひとつとして、ご先祖さまをお迎えするために始まったもの。照明のない時代には、盆踊りはいつも満月の夜に開かれたという。太鼓と「口説き」と呼ばれる唄に合わせて、会場の中央に据えられたやぐらの周りをみんなが踊るのだ。地域によっては、初盆の家を回って踊るところもあった。

 盆踊りは同時にみんなで集まって踊ることで地域の結び付きを深め、また、帰省してきた人との再会の場や、男女の出会いの場としての役割を果たしていた。本来、盆踊りは旧暦7月15日、すなわち満月の夜に行われていた。先祖が見下ろす月明かりの中で、子供たちははしゃぎ、大人たちはさまざまな思いを胸に踊っていたのである。

 8月3日、わたしは北九州市八幡西区のサンレーグランドホテルの中庭で開催された盆踊りに参加した。ホテル内には北九州紫雲閣というセレモニーホールが入っている。

 紫雲閣グループでは、「セレモニーホールからコミュニティセンターへ」をスローガンとして掲げている。「葬儀をする施設」から「葬儀もする施設」への転換を目指しているわけだが、その具体的実践として、北九州紫雲閣では毎年、盆踊り大会を開催している。地元の町内会や婦人会を中心に700人を超える方々が集まった。

 この日は、焼きそば、たこ焼き、からあげ、かき氷などの屋台コーナー、スーパーボールすくい、金魚すくい、射的などの縁日コーナー、さらに歌謡ショーやキッズダンスなどもあって、大変な盛況であった。

 今は先祖供養という色合いよりも、夏祭りの行事の代名詞となったが、老若男女が音楽で心をひとつにして踊る様を見ていると、そこには地域社会の「つながり」を感じる。

 小袖や浴衣など、日本の伝統衣装に身を包み、一心不乱に手足を動かして踊れば、わたしたちを遠いご先祖さまとも結び付けてくれる。 まさに、「地縁」と「血縁」を結び直してくれる盆踊りは、無縁社会を乗り越え、有縁社会を再生させる力を秘めている。わたしは、これからも日本中で盆踊りを開催したい!