令和こころ通信 『西日本新聞』連載 第09回

結婚式 親子で模擬体験

 小泉進次郎衆院議員とフリーアナウンサーの滝川クリステルさんの結婚報道には大変驚いた。お似合いのお二人だし、心から祝福したい。このビッグカップル誕生をきっかけに、令和の日本に結婚ブームが起こることを願っている。

 日本は、いま最大の国難に直面している。それは韓国との関係悪化でも、北朝鮮問題でもない。より深刻なのが人口減少問題である。最大の解決方法は、言うまでもなく、たくさん子どもを産み育むこと。そのためには、結婚するカップルがたくさん誕生しなければならないのだが、現代日本には「非婚化・晩婚化」という、「少子化」より手前の問題が潜んでいる。

 日本人が結婚をしなくなった背景には、結婚式への憧れが弱くなったことがあるように思えてならない。かつて、小学生女子の「将来の夢」の第1位は断トツで花嫁さんだったが、すでに過去の話である。

 いま、入籍のみで結婚式はしていない、いわゆる「ナシ婚派」が入籍者の約半数を占めている。その三大理由は「経済的事情」「さずかり婚」「セレモニー行為が嫌」だという。「セレモニー行為が嫌」については、感謝の「こころ」を「かたち」にして届ける婚礼本来の意味が伝わっていないからだろう。

 そこで、わが社の松柏園ホテルでは、2016年から、婚礼本来の意味を伝えるプロジェクトを推進している。

 タイトルは「親子でウエディング体験会」。本年も夏休みの終わりに、小学生とその親を対象に、経験豊かなウエディングプランナーを講師として、結婚式まつわる「あるあるクイズ」、また「チャペルウエディング」や「披露宴」などを通じ、結婚式の模擬体験を行った。

 さらにイベントのクライマックスでは、小学生全員に、一緒に参加している親御さんに対して「感謝の手紙」を読んでもらった。それは感謝の「こころ」を「かたち」にして届けることで、儀式の本質的な意義に、実体験を通じて少しでも触れてほしいと思ったからだ。

 イベント終了時には、参加いただいた感謝の気持ちを込めて、参加者全員に「修了証書」を贈らせていただいた。

 講師を務めるウエディングプランナーの姿を見て、「この仕事をやってみたい!」というお子さんや、新郎新婦モデルを見て「いつかは、自分も花嫁さんに!」と思ってくれる憧れ派も出てくれたら嬉しいことだ。

 さらにこの機会を通して、「家族や兄弟、友達との絆」を感じてくれる子どもたちも出てくるかもしれない。非日常的な結婚式だからこそ、今後も実体験を通じて「気づく機会」を提供していきたいと思う。