平成心学塾 法則篇 自分の法則を見つけよう #016

閉講にあたって

「自分の法則を見つけよう」

 

この世には数多くの「法則」が存在するとされています。でも、そのほとんどは単なる「経験則」や裏づけのない「ジンクス」のようなものです。

「経験則」は、やがて「諺」になります。「二度あることは三度ある」「急(せ)いては事をし損じる」「仏の顔も三度」などがそうですね。なんだか、「失敗する余地があるなら、失敗する」という「マーフィーの法則」に似ていますね。そう、多くの「マーフィーの法則」の正体も、じつは「法則」ではなく、「諺」になりかけの「経験則」なのです。

かつて「法則」は、観察や実験を繰り返すことで帰納的に得ることができると考えられていた時代があったようです。しかし現代では、その考え方をする人はいないようです。

あるアイデアが、とりあえず「仮説」として立てられる。その「仮説」から具体的・個別的な「命題」を導き出す。そして、その「命題」を観察および実験で検証し、有効性が検証されれば、ようやく「法則」に格上げされる。そのようにしてできた複数の「法則」を体系化したものが「理論」と呼ばれます。

そうであれば、プロの科学者ならともかく、わたしのような素人には一生、「法則」など発見できそうにありません。でも、わたしにはいくつか自分なりの「法則」のようなものがあります。たとえば、本書の最後に示した幸福になるための2つの法則もそうですし。仕事においても「法則」らしきものが存在します。

わたしの会社は冠婚葬祭互助会なのですが、「互助会募集の営業の成果は2年後に現れる」とか、「葬儀の発生は多い月も少ない月もあるが、3カ月平均でならすと同じになる」などの「法則」です。もちろん、業界的に何らかの意味はあっても、それ以外の人にはまったく縁のない「法則」です。それに、この2つだって「法則」というより、おそらく「経験則」の類でしょう。

でも、わたしは、それでいいと思います。

なぜなら、他の人々には意味がなくても、わたしには意味があるからです。ましてや、わたしの会社の社員たちがそれを信じてくれるなら、わたし一人の幻想を超えて、少しだけ市民権を得た「プチ法則」ということです。それを思うと、なんだか楽しくなって、幸せな気分になってきます。

これらの「プチ法則」は、わたしが生きていく上で大切な支えとなっています。結局、「法則」は人間が生きていくために役に立つものでなければならないと、わたしは考えます。人間を幸せにするもの、人間を元気にするもの、人間を励ますもの、そんな「プチ法則」たちをこれからも見つけていきたいと思います。

そして、みなさんにも、きっとそんな「プチ法則」があるはずです。巻末には「世界の法則一覧」を付けました。ぜひ、この一覧をながめてください。または、じっくり読んでください。そして、あなたの脳を「法則モード」にして、自分なりの「プチ法則」を見つけてください。

この世界に存在する数多くの「法則」は、たとえ本物の科学的法則であろうとも、それ単独では宇宙の全体像を明らかにすることはできません。「群盲象を撫でる」という言葉がありますが、これは、生まれつき目の不自由な人々がはじめて象に触れたときの様子を描いたインドの寓話に由来するそうです。象の頭に触れたものは「象は瓶のようだ」と感想を述べ、鼻に触れた者は「竿のようだ」、耳に触れた者は「団扇(うちわ)のようだ」、胴に触れた者は「穀倉のようだ」、脚に触れた者は「柱のようだ」、そして尾に触れた者は「箒(ほうき)のようだ」と語ったというのです。

古代インド人が考えていた宇宙像では本当に象が出てきて宇宙を支えていますが、まさに宇宙そのものが一匹の巨大な象ではないかと、わたしは思います。その姿は、ある人にとっては象の鼻だったり、耳だったり、または脚や尾だったりするわけです。でも、象の身体の各部分は当然ながら象そのものではありません。

この世に存在する多くの「法則」も、しょせんは宇宙という象の鼻や耳をとらえるのがやっとだと思います。でも、ジグソーパズルのように、または児玉清のパネルクイズのように、それらをつなぎあわせていけば、少しずつ、その全体像が見えてくるのではないでしょうか。

本書の「世界の法則一覧」にコレクションした数々の「法則」たちは、使えるジグソーのピースやパネルだと思っています。ぜひ、宇宙の真の姿を覗くパズルやクイズをお楽しみください。もしかすると、最終的に宇宙の正体を明らかにする「アタック・チャンス」となる最後のピースやパネルは、あなたの「プチ法則」かもしれません。

いま、満月をながめながら、この「あとがき」を書いています。かつて、わたしたちの遠い祖先が月を見て、「法則」というアイデアを思いついたと、わたしは信じています。そして、かのニュートンも月の引力に思いを馳せて、史上最大の法則といわれる「万有引力の法則」を発見しました。わたしは、月をながめながら、この「法則」についてのささやかな本が、あなたの手にわたって、あなたの人生の何らかの役に立ってくれることを心から願っています。

最後に、本書は、三五館の愉快な仲間との友情から生まれました。刺激的で、楽しい仕事でした。心から感謝申しあげます。