ハートフル
人は感動する事によってハートフルになれます。天にも昇るような、おいしいものを食べてハートフルになったり、 魂を揺り動かすような音楽を聴いて、映画を観て、テーマパークで遊んで、ハートフルになったりします。 すばらしい自然に触れたり、スポーツで汗を流したりするうちにハートフルになることもあります。 また、結婚式という人生で最も輝いたセレモニーにおいてハートフルになる人も 多いでしょう。
「ハートフル」とは心の満月です。月が人間の精神に与える影響については『ロマンティック・デス』 という本で詳しく書きましたが。その人間の精神そのもの、つまり心というものも月に似ていると私は思います。 人は倦怠しているとき、下弦の月のごとく、その精神の四分の三が影となっています。 何かで悩んだり、ねたみ、そねみ、憎しみなどのネガティブな感情に陥っているとき、暗雲に隠された月のように心も 闇に覆われているのです。しかし、何かで感動したり幸福感などでわかに活気づくと、心の満月が突然現れ、人は自分の 内側にある生命の源と触れ合っていると感じます。この心の満月が「ハートフル」なのです。
「ハートフル」をつきつめてゆくと、心理学者エイブラハム・マズローが唱えた究極の幸福感である「至高体験」、ロマン主義 文学者や宗教家たちの解く「神秘体験」、宇宙飛行士たちが遭遇した「宇宙体験」、そして死にゆく人々を強い幸福感で 包むという「臨死体験」などにも関わってきます。すべての人間はハートフルという幸福感のビックウェイブを持つサーファー なのです。
一条真也