骨董
骨董こそはモノにも「老い」の価値を見る文化であり、グランドカルチャーそのものです。もともと骨董という言葉は古く中国宋代の蘇東坡の『仇池筆記』にある言葉で、中国料理で骨を長時間煮てつくった煮ごり風の羹をさしました。のちに人に長く愛玩された古物の名となり、明治の董其昌の『骨董十三説』には金・玉・書画墨跡・石印・窯器・漆器・琴・剣・鏡・硯など4類11品があげられています。
日本でも江戸時代には道具屋が美術品を扱っていましたが、明治以後になると骨董商が登場して高級な古美術品を扱うようになりました。骨董趣味といえば不健全な鑑賞ととられる時期もあって、骨董品や骨董商は美術品、美術商と称するようになりました。しかし、骨董とは単なる美術ではありません。古い物には霊力が宿るといわれますが、人は骨董に美術以上の精神的な価値を見出すのです。現在では西洋アンティークが人気で店も増え続けていますが、骨董の鑑賞こそは年期が物を言う世界です。