平成心学塾 文化篇 グランドカルチャーのすすめ #007

写経

「般若心経」を中心として、写経がブームになっているそうです。
初期の仏教では、経典は口承で伝えられ、文字化されていませんでした。お経の書写が行われるようになったのは、紀元前後、ちょうど部派と大乗との区別ができあがったころと言われています。事実、『般若経』や『法華経』などの大乗仏典には、経典の授持、読誦と並んで、書写の功徳が強調されています。
写経は、仏の教えを体得するための仏道修行でもあります。かつて写経生や僧侶は、斎戒淋浴して身を清め、部屋を荘厳して写経に臨んだといいます。しかし、初めて写経に取り組むときは、そうした厳しい作法に従うよりも、とにかくまず書いてみることが大切であり、習字の練習をするような気持ちで筆を取る方がよいそうです。とはいえ、仏の言葉であるお経を書き写すのですから、一字一字を仏と思って心を込めなければなりません。心静かに書き写していると、次第に気持ちが落ち着き、書き終えたときは非常にすがすがしい気分が味わえます。
これこそ写経の功徳かもしれません。