平成心学塾 文化篇 グランドカルチャーのすすめ #011

風呂

風呂は文化です。日本の風呂の歴史は、538年の仏教伝来とともにスタートしたといわれています。それまでにも、各地に温泉浴や蒸気浴の習慣はありましたが、湯を使っての沐浴は仏教伝来によって建立された寺院の浴堂が最初とされています。中でも、日本最古にして最大の浴場だったのが東大寺の「大湯屋」です。これはあくまで、体を清める、宗教的精神を養うことが目的で設置されたものです。
純粋に「風呂屋」としての営業目的の大衆浴場がつくられたのは江戸時代で、1591年に銭湯がはじめて登場しました。江戸っ子たちは風呂を好み、熱い湯にがまんして入るのを美学としました。
また日本には数多くの温泉があり、各地の温泉めぐりを趣味にした高齢者がたくさんいます。温泉めぐりのサークルもあるそうです。一般に高齢者は体と心に好影響を与える風呂が好きです。考えてみれば、初湯にはじまり湯灌に終わる。人の一生は湯とともにあります。