陶芸
陶芸は「空気」と「土」と「火」と「水」の芸術です。この四つは古代ギリシアで四大元素と呼ばれ、世界を成り立たせているものとされました。すると、土を水でこねて、空気と調節しながら火で焼き上げる陶芸という行為は、天地創造を再現していることになります。土を両手でこねていると何とも言えず心が安らぐのは、人間も含めてすべての生物は土と水の中から生まれてきたからかもしれません。そして空気と火は「炎」となり、土に生命を吹き込み、焼かれた物は一つの生き物のように自己を主張します。
作陶は全神経を集中させなければなりませんが、それによってさまざまな悩みや不安は土と炎の中に消えていって、「無心」「無我」の境地に入ることができるのです。
「陶を知る者は政を知る」という中国の古い言葉があります。陶芸は端的にその時代の政治、経済、学問、芸術と文化のすべてをあらわす時代精神そのものの象徴でもあるのです。