シネマの街を世界へ 『西日本新聞』連載 #001

思い出詰まる「昭和館」

プロローグ

 

わたしは映画が大好きです。映画を観れば別の人生を生きることができます。世界中のどんな場所も、歴史上のどんな時代にも行くことができます。
2010年より、ペンネームの「一条真也」名で映画レビューを書き始め、現在700作品以上書きました。そんなわたしが生まれ育った地で、12月、北九州国際映画祭が開催されるとか。大変うれしく思っています。映画祭を通じて、北九州市が「映画などの撮影を誘致・支援する街」から「映画文化を楽しむ街」へとステージアップするのを心より願っています。
「北九州と映画」でまず頭に浮かぶのは、1939年創業の県内最古の映画館「小倉昭和館」です。同館で多くの名画を鑑賞したわたしには、たくさんの思い出が詰まっています。
昨年8月の火災で焼失してしまった際には、わたし自身も大きな喪失感に包まれました。しかし、樋口智巳館主の熱意に共鳴した方々の支援もあり、同館は今年12月の再開を目指して前進しています。弊社サンレーでも僅少ながら支援をさせていただきました。
いま、北九州の地において、名画座の復活、そして北九州国際映画祭の開催がまったく同じタイミングで進んでいることに、わたしは何か運命的なものを感じずにはいられません。