表現というのは、何かのメッセージや思想を他者に伝えるとき、必要なものです。表現によって大衆を動員することもできますし、ある意味で魔術とよく似ています。魔術には「呪い」の黒魔術と「癒やし」の白魔術がありますが、まさにチャップリンは偉大な白魔術師でした。映画が生まれて３０年間はサイレントであったがゆえに音がないという制約の中で、彼の「想像力」は遺憾なく発揮され、人々に「幸福」や「愛」、そして「平和」のメッセージを送り続けました。

　なにより、チャップリンは人を笑わせるという最強の白魔術によって世界の人々の意識をポジティブに変容させてきたのです。しかし、チャップリンは多くの珠玉の言葉も残しています。

　「下を向いていたら、虹を見つけることはできない」という彼のメッセージは極めて映像的であり、美しい虹を彷彿とさせてくれます。彼は言葉の表現においても天才だったのです。