「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」宮沢賢治
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、日本の童話作家で詩人の宮沢賢治の言葉です。
この言葉は賢治の『農民芸術概論綱要』という途方もない巨大なスケールを持った思想書の中にでてきます。この言葉に触発されて、わたしは「ハートピア」という言葉を思いつきました。
「ハートピア」には天国や極楽としてのハートピア・ゼア(あの世の理想郷)、ハートピア・ヒア(この世での理想郷)がありますが、ハートピア・ヒアは幸福な人々がつながった心のネットワークです。
真の心の理想郷は、私的幸福である「ハートフル」と公的幸福である「ハートピア」が調和して初めて生まれます。
心理学者のユングは、すべての人間の心に共通する底流があると考え、それを「集合的無意識」と名付けました。ユングの言うように、わたしたちの心が深部でつながっているならば、賢治が説く「世界が一の意識になり」「世界のまことの幸福」を獲得するのも夢ではないはずです。
そのときこそ、彼岸にあるハートピア・ゼアがハートピア・ヒアとして、わたしたちの前に出現するのだと信じています。