「太陽の光線は、美人の顔も照らせば、犬の糞も照らしている」中村天風
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回は、異色の哲学者として知られ、成功哲学を説いた中村天風の言葉です。
天風は東郷平八郎、原敬、松下幸之助、稲盛和夫など、多くの名立たる人物にも影響を与えた指導者でもあります。
この言葉は、「太陽は万物にとって平等である」ということですね。そう、太陽はあらゆる地上の存在に対して平等であり、太陽光線は美人の顔にも降り注げば、犬の糞をも照らします。この世の中に、こんな平等はなかなかありませんね。
さて、太陽といえば17世紀のフランスのモラリスト文学者であるラ・ロシュフーコーの「太陽と死は直視できない」という言葉もあります。直視できないという「不可視性」だけでなく、太陽と死には「平等性」という大きな共通点があるのです。ちなみに、わたしは「死は最大の平等である」と信じ、その言葉を口癖にしています。
太陽と同じく「死」も平等です。「生」は平等ではありません。生まれつき健康な人、障害を持つ人、裕福な人、貧しいなど、「生」は差別に満ち満ちています。しかし、王様や富豪でも庶民でもホームレスでも「死」だけは平等に訪れるのです。