ハートフル・メッセージ サンレー会員様へのメッセージ『ハートライフ』連載 第20回

「コロナからココロへ」

 新型コロナウイルスの感染拡大では、わたしを含めて、あらゆる人々がすべての「予定」を奪われました。コロナとの付き合いはまだ終わってはいません。 ニューノーマルの時代となっても、わたしたちは、人間の「こころ」を安定させる「かたち」としての儀式、冠婚葬祭を守っていかなければなりません。コロナ禍の中で、わたしは冠婚葬祭が社会に必要なものであり、時代がどんなに変化しようとも不滅であることを確信しました。

 日本は、いま最大の国難に直面しています。それは新型コロナウイルスの問題でも、中国の領土侵犯の問題でも、北朝鮮のミサイル問題でもありません。より深刻なのが人口減少問題です。人口減少を食い止める最大の方法は、言うまでもなく、たくさん子どもを産むことです。そのためには、結婚するカップルがたくさん誕生しなければならないのですが、現代日本には「非婚化・晩婚化」という、「少子化」より手前の問題が潜んでいます。

 わたしは、結婚式は結婚よりも先にあったと考えています。一般に、多くの人は、結婚をするカップルが先にあって、それから結婚式をするのだと思っているのではないでしょうか。でも、そうではないのです。

 日本人の神話である『古事記』では、イザナギとイザナミはまず儀式をしてから夫婦になっています。つまり、結婚よりも結婚式のほうが優先しているのです。他の民族の神話を見ても、そうでした。すべて、結婚式があって、その後に最初の夫婦が誕生しています。結婚式の存在が結婚という社会制度を誕生させ、結果として夫婦を生んできたのです。結婚式があるから、多くの人は婚約し、結婚するのです。結婚するから、子どもが生まれ、結果として少子化対策となります。

 結婚がなくなれば、子どもの出生が少なくなり、子どもが成長して大人となり、老いていって次の世代へ繋がることもなくなります。 すなわち、結婚は生命のサイクルの起点なのです。結婚式は社会の維持のために絶対に必要です。日本という国を継続させていくエンジンのような存在です。

 葬儀の方ですが、最近、「葬祭業はエッセンシャルワークですね」とよく言われます。エッセンシャルワークとは医療・介護・電力・ガス・水道・食料などの日常生活に不可欠な仕事です。そして、葬儀もエッセンシャルワークです。

 葬儀にはさまざまな役割があり、霊魂への対応、悲嘆への対応といった精神的要素も強いですが、まずは何よりも遺体への対応という役割があります。遺体が放置されたままだと、社会が崩壊します。それは、これまでのパンデミックでも証明されてきたことでした。何が何でも葬儀に関わる仕事は続けなければならないのです。

 感染症に関する書物を読むと、世界史を変えたパンデミックでは、遺体の扱われ方も凄惨でした。その反動で、感染が収まると葬儀というものが重要視されていきます。人々の後悔や悲しみ、罪悪感が高まっていったのだと推測されます。コロナ禍が収まれば、もう一度心ゆたかに儀式を行う時代が必ず来ます。

 冠婚葬祭は社会を安定させ、人類を存続させる社会インフラとしての文化装置なのです。冠婚葬祭が変わることはあっても、冠婚葬祭がなくなることはありません。

 そして、十四世のペストの後はルネサンスの時代が来たように、今回のパンデミックが新しい心ゆたかな社会を呼び込むような気がしてなりません。

 何事も陽にとらえる。これは、わたしがサンレーグループの佐久間進会長から受け継いだ信条ですが、今回のパンデミックを陽にとらえ、前向きに考えるとどうなるでしょうか。それは、何と言っても、世界中の人々が国家や民族や宗教の枠を超えて、「宇宙船地球号」の乗組員だと自覚したことに尽きるのではないでしょうか。

 新型コロナウイルスに人類が翻弄される現状が、わたしには新しい世界が生まれる陣痛のような気がしてなりません。こんなに人類が一体感を得たことが過去にあったでしょうか。戦争なら戦勝国と敗戦国があります。自然災害なら被災国と支援国があります。 しかし、今回のパンデミックは「一蓮托生」です。その意味で、「パンデミック宣言」は「宇宙人の襲来」と同じかもしれません。新型コロナウイルスも、地球侵略を企むエイリアンも、ともに人類を「ワンチーム」にする存在なのです。世界は必ず良くなります。あなたはきっと幸せになります。そう信じて、ともに前に進んでいきましょう!